未分類

弊社が世田谷区内で管理組合業務代行を受託しているマンションで興味ある出来事があった。同マンションは小田急線の環状八号線を超えない駅から徒歩3分ほどの便利な場所にあるが、築年数35年で1階に店舗を持つ小規模なものである。6階の最上階にある部屋の所有者が急逝し、相続人の娘さんが売却したのだが、購入者は業者であった。業者はリフォームして売りに出したのだが、販売価格は相場より20~30%高い設定で、1ヶ月くらいで転売できた。販売価格で売れたかは不明だが、今度の買い手も業者の様だ。所有権移転したにも拘わらず所有者変更手続きを行わないので、多分転売目的で購入したと推定出来る。

このことがなぜ興味を引くかであるが、建替え時期が来た都心の規模が大きいマンションや開発エリアに位置する立地するマンションでもなく、どう分析してもマンション転がしの対象になる物件ではない為である。東京オリンピックに向かって都内の土地価格は上昇気味だが、現在の相場は土地投機と思われるほどは上がっていない。しかし、建築費に限れば1~2年で2倍以上になり、恐るべき建築コストインフレだ。高騰の理由は資機材の上昇ではなく、偏に人件費の上昇と言えるが、建設会社としては仕事量が多いので、安く請けることはないからでもある。古い話になるが、弊社が等価交換と言われる方式でマンションの共同再開発事業を推進していた時の事だが、当時も土地価格以上に建築費が高く、。デベロッパーと地権者の交換比率は70対30であった。この話をすると誰もが信じられないと言う顔をするが、真実である。当時の建築費が高かったのは人件費のためでなく、資機材が高かったからだ。何れにしても、土地価格に対する建築費が1975年当時に回帰した訳であり、この現象から派生するのが今回の世田谷の小規模なマンションの区分所有転売とするならば、いつか来た道になるかだ。

マイナス金利が効果を現し、不動産投機が生じてきたかは判断できにくいが、今後はインカムの収入の賃料の動きを注視する必要がある。不動産証券化以降は需給のバランスなど関係ない不動産投資が行われて来ており、それを支えているのが、規制緩和や景気回復に対する政策、更には省エネなど既存ビルに対する競争力を持った建物だ。この為、既存ビルは競争力を弱め、新しいビルは競争力を高める図式は今後も続くと思われるが、既存ビルも発想の転換によるリノベーションで競争力を回復しているケースも見受けられ、引き続き判断に困る状況が続くと推測される。AIやロボットなどIoTにおける科学技術の進歩の波も不動産業界に押し寄せるのは間違いなく、世田谷の小規模マンションの区分所有の転売で利益を得る事が今後も可能かは、結局、資金の供給先の問題に帰結する。

未分類

リオオリンピックで日本は多くのメダルを獲得した。子供の頃からクラブに入り良きコーチに指導を得たことも一因と思われるが、選手のインタビューを聞いていると過去の東京オリンピック当時の日本の為にと言う言葉ではなく、自分やチームの為に頑張ったと答えたのが印象的だった。我々の世代は戦前の教育を受けた世代を親に持っているので滅私奉公が根底にある。それがプレッシャーになり力を発揮できなかったケースも見られた。特に、マスコミなどは選手に日本を意識させるインタビューを行って余計なプレッシャーを与えていた。漸く日本も島国根性から解放されたかと嬉しくなる。

しかし、余計なお世話かもしれないが、今回のリオオリンピックのメダル獲得は予想以上のものと思われ、4年後の東京オリンピックでは今回以上のメダルを期待されることになり、大変と思っている関係者もいると思われる。運動団体は閉鎖的な上、昨今は利権とも関係しているので、厄介な存在であることは確かだ。私の友人の娘さんがNYで育ち日本の有名大学を卒業し、スイスにあるオリンピック委員会指定の大学の大学院で学んで日本のオリンピック関係の組織に就職を希望したが、日本で運動選手の実績がないとの理由で働くことが出来なかった。世界中から学びに来ており、全ての生徒は卒業後に母国のオリンピック組織に就職しているとのことで、日本だけが受け入れないのを聞くと情けない気がする。友人の娘さんは今は全米テニス協会に正社員として採用され、忙しい日々を過ごしている。

運動選手として実績を上げた人しか受け入れない組織は、大きく時代が変わろうとする現代で多様な知見が必要とされる時代に合っては滅亡した恐竜ならないかと心配する。勿論、体操競技で団体金メダルを取った内村を筆頭にした選手を見ると運動選手としての能力だけでなく、人格を備えているので、彼らが指導者として成長すればと期待したい。余計なお世話と言われそうだ。

未分類

本当に現代社会は記憶喪失に罹ったかと勘違いするほど前言を忘れて跳梁跋扈する輩が多い。関西電力の高浜原発が40年経過しているが、今回、福島第一原発事故後に40年とした原発寿命を20年延長することを原子力規制委員会が認めた。福島第一原発も40年経過していたが、当初計画を変更して延長稼働を決めたのは経済産業省が進めた電力自由化が背景にあった。電力各社は電力自由化に対して財務効率等を余儀なくされ、福島第一原発も津波対策などに再投資をすることを決断できなかった。

経済産業省が進めた電力自由化がグローバル経済に対する競争力を高めると言うのは建て前で、本音は政治家を金で籠絡して経済産業省の圧力を抗してきた電力会社に対する主導権を取り戻す目的であった。この為、電力会社が国策で進めてきた過剰な電力供給設備に対する配慮が電力自由化には欠けていた為に問題が生じている。地震大国に原発立地を推進させ、電力自由化の対する電力会社の財務体質の強化の為に無謀にも老朽化した原発の稼働延長を認めざるを得ない矛盾した政策で何時も被害を受けるのは国民だ。

安倍内閣は経済再生に賃金アップを掲げているが、グローバル競争に勝つために非雇用者制度を作ったのは誰だと言いたい。然も、企業の内部留保に批判を強めているが、誰が多額の内部留保ができる法人税引き下げを行ったのかと言いたい。企業が内部留保金を設備投資に回さないために内部留保金に対する課税の議論も出てきているが、ふざけるなと言いたい。日本は社会主義国家ではない。

昨今は政治家と官僚はマスメディアを利用した情報操作も行って来ており、日銀のマイナス金利が近い将来の年金システムを破壊することになることを言及した記事は少ない。政治家が無責任になったのには幾つかの理由があるが、そのひとつには官僚と同じ責任を取らなくても良い風潮が生まれたことだ。特に、政治家は選挙で勝てば禊になり、過去の言動と行動が免罪される様な風潮である。政治家の失敗に免罪符はない。何回選挙で当選して来ようが、過去に大きな誤りがあれば能力の問題なので直ちに議員を辞職するのが禊だ。

政策に対する無責任な生き方が出来た官僚に政治の助言を求めている今の政治家は無責任にならざるを得ない。記憶喪失症社会とは責任を取らなくてよい官僚から発し、今や政治家や企業経営者にまで害が及んでいる。

原子力発電に対する最終的な答えが出ていないのにも拘わらず途中で電力自由化を進めてより一層原発問題を複雑にした経済産業省の役人の無責任さは正に無謀な太平洋戦争に突入した馬鹿な昭和の軍人官僚と同じと思われる。

その官僚と政治家がデフレ脱却だけの処方箋で経済再生が可能と馬鹿な一つ覚えを呪文のように唱えて国民をだまし続けている。自らの矛盾した政策を棚に上げて賃金を上げない企業が悪い、設備投資しない企業が悪いと魔女狩りの様相を呈してきている。

この様な社会の行く末は、常に悪者を仕立て国民にバッシングさせることであり、舛添都知事の如く2年半の政策を評価することなしに、当初から分かっていた政治資金支出の問題を殊更取り上げて東京オリンピックを邪魔する都知事を魔女狩りにしたことは今後に起きる前哨戦だろう。スポーツに目を向けさせて国民を騙す手立ては独裁者の手口だが、無能な政治家が目指す道でもある。それにしても、田中角栄と言う政治家の汚職で政治と金に対する規制がその後の政治家をダメにした。その角栄が今再度脚光を浴びているとは恐れ入り屋の鬼子母神だ。

未分類

朝河貫一氏の名前は国会に設けられた福島原子力発電所事故調査委員会の委員長であった黒川清氏の著作で初めて知った。
DSC_0099.JPG福島県二本松市の出身で日本人として初めて米国の名門大学の教授に就任した人物だ。ダートマス大学、イェール大学に学んだ英才だが、父親は二本松の藩士で、明治維新の戊辰戦争で政府軍と戦った。戦後は福島県内の学校で教職を得ている。


朝河貫一は父から漢文や武士道精神を学んだが、二本松藩は小藩ながら会津藩を支援する為に政府軍と壮絶な戦いをして落城しているので、机上の武士道ではなく、戦場経験者の武士道と言える。


福島尋常中学(現福島県立安積高校)、東京専門学校(現早稲田大学)を首席で卒業し、米国のダートマス大学に留学した。ダートマス大学でも優秀だったので、同大学から奨学金を得てイェール大学院に進んだ。


朝河が米国で大学教授の時に日露戦争が起きたので、朝河は日本の為に「日露衝突」を英語で書いて日本の大義を世界に訴えた。この本で日本が大国の露国に対して戦争を余儀なくされたことを世界に知らしめ、その功績は大きかったと言われている。


しかし、朝河貫一は日露戦争後に日本が大陸に覇権を求めるのは大義がなく、露国と同様の古い時代の侵略主義に陥ることは米国との対立を招くことになり危険であると警告した。それが日本語で書いた「日本の禍機」である。米国はスペイン戦争でフィリピンを得たことにより、ハワイを併合し太平洋重視に転じ、支那との友好を模索していた。特に、先駆けて米国の企業が満州などに商権の拡大に動いていた。この為、朝河は日本が南満州・支那に対して権利以上に侵略する行為は自由貿易の新しい時代に逆行し、米国と対立する懸念を指摘した。支那は米国の意向を利用し、日本を侵略者として米国に支援を求めることになった。米国が日露戦争で日本を支援したのは日本が露国に代わって満州や中国大陸に進出することではなく、旧植民地制度から自由貿易に流れを変える新植民地制度になることを期待しての事だった。朝河から見れば、日露戦争で多大な犠牲を払った日本が南満州に橋頭保を築き、大陸進出の足掛かりを作るのは否定していないが、支那の権利を阻害し、南満州で権利以上に勢力を拡大することは、米国との戦争になり、米国の強大さを考えると日本が戦争に負けること指摘していた。


この本では日本が世界から孤立して国運を誤らない事を切に論じている。外国企業が伝える誤った情報で世界の人々が動くことの危険性にも触れている。また、日本人の長所と短所を指摘している他、漢字の不思議な効果を説明し、漢字を日本人が用いることで独立的な思考が犠牲になり、判断力が奪われる危険性を指摘している。余りにも妥協しやすい日本人の特性は漢字に対する無批判的な幼稚さに基づいていると分析している。漢文を学びながら外国語に精通した朝河が見た日本人観と言える。特に、反省しない責任を負わない日本人の性質に対して危惧しているが、その状況は現在も変わっていなことに日本の将来が危ういのかもしれない。

日本人はキリスト教国家の国民の様に神に対する責任がなく、日本の裁判所での宣誓も欧米の人々の様に神の存在によるものではないので、希薄に感じるのは私だけでないと思われる。日本人の反省心や責任の欠如を武士道精神が補ってきたかもしれないが、日本人の大半は武士の出ではない。武士道精神などといっても無理がある。武士階級の遺伝子を持たない多くの日本人は時流に流されやすいと指摘されている。戦後に天皇絶対性が崩壊した後に日本人が目指したのは豊かさと言うお金であった。戦後の日本人の多くは拝金教の信者であり、政治家の田中角栄は正に拝金教国家が産んだ鬼っ子だった。石原慎太郎始め、多くの者が経済低迷から抜け出させない日本に再度拝金教を日本人に植え付けようとしている。馬鹿げた行為だ。

日本の将来を考えるには、福島原発事故を起こしたような日本人の考え方を変えることが必要であり、改めて100年前に書かれた"日本の禍機"を読むことが必要と考える。

未分類

日銀のマイナス金利政策に関しては良く分からないと言うのが国民の大多数の意見と思われる。

欧州各国では既にマイナス金利を導入している事を聞くと、マイナス金利は景気回復に本当に有効なのかと疑念も湧いてくる。日本も欧州のマイナス金利に倣うとすれば、マイナス金利の幅は今後拡大すると見た方が良いことになる。EU加盟国は一元的なユーロー通貨なので、通貨の切り下げによる輸出の拡大などの手段は取れないし、財政出動も財政規律の制約もあり、景気回復の手段は限られている。この為欧州各国にとっては景気対策で取りえる有効な政策と考えられる。翻って、日本は単独で通貨の切り下げも財政出動も中央銀行による国債買い入れも可能であるので、何故マイナス金利を導入したのかと素人ながら疑問が湧く。

勿論、日銀が行ってきた国債や社債などの購入に限界が来たのでマイナス金利しか方法がなかったとの報道も目にするが、報道されたことで逆に真実ではないと疑い深い私は考える。マイナス金利に関しては頭がもやもやしていたが、ひとつの記事が私の考えていたことを裏付けた。私は黒田日銀総裁は安倍首相が経済再生に専心しないで政治の軸足を外交と国防と憲法改正に置いていることに対する不満で古巣の財務省を利する政策がマイナス金利導入ではないかと考えていたからだ。

黒田日銀総裁も熊本の地震は想定していなかったであろうが、経済再生と地震の被災地復興の為に資金を必要とする政府に力を貸すほか、財務省は入札で国債利回りがマイナスになり、借金をするのに利息を受け取れる状況だ。また、日本の国債の利回りが0.4%なので財政的には節約できることになり、国債の一部を景気刺激策に使える勘定だ。

問題はマイナス金利の副作用だが、これに関してはマイナス金利導入の先駆者の欧州・デンマークの事例が教訓となりそうだ。マイナス金利が長期に続くと貯蓄を増やして投資を減らす結果になっているとのことだ。デンマークの年金・投資貯蓄は約6000億ドル(約64兆円)であり、この資金運用担当者によれば、低金利が投資を促進すると言うロジックは金利がゼロを下回ると通用しないと指摘いている。その理由としては、ゼロ金利の極端な政策は予測できる結果がない危機の兆候と企業と消費者は考えるからだと推測されている。将来のリターンやリスクの透明性が乏しい為、将来の購買力を守ろうと貯蓄を増やし、リスクの低い資産を選ぶことになるそうだ。従って、ゼロ金利は国民を守る為の政策ではなく、国家を守る政策であることを理解した次第。

 

未分類

黒川書籍.JPG黒川清氏は東日本大震災時の福島第一原子力発電所の事故を究明する目的で国会に設置された調査委員会の委員長でした。

事故後5年経過するのに何も解決していないことと、事故調の提案も国会でその後の議論が殆ど起きていないことに憂いて本書を上梓したと書いている。

同書で、日本の憲政史上初めての国会調査委員会として設置されたと書かれており、改めてその意義を日本人は考えるべきと思われる。

国会事故調が福一事故は地震や津波による自然災害ではなく、人災が引き起こしたと結論付けている。私も原子力行政に拘わった知人がいるので、一般の人よりは原子力発電と福一事故に関しては知識を有しているので、国会事故調の報告書は大いに評価できる。

今、黒川氏が憂いているのは、国会事故調で報告した安全性に対する問題点を国会で全く議論がなされていない上、福一事故処理も解決の目途が立っていないのに、再稼働だけが先行していることだ。九州電力の川内原発の再稼働に対して事故が起きた時の責任に対して政府は電力会社と発言した。黒川氏は国会事故調のヒアリングで上に行くほど無責任になる日本の組織に対してグループシンキングの悪弊と断定した。確かに、明治以降、否江戸時代から同様であったのかもしれないが、誰も同じ考えを持つ教育が日本に存在する。

東日本大震災以降、日本列島は地殻変動期に入ったと思うのは常識的な考えだ。その検証もなしに原発再稼働と原発輸出の掛け声だけが聞こえている現状は異常だが、日本人の多くは思っていない様だ。黒川氏が指摘する様に大手メディアの責任もある。福一原発の事故を含め大量に保管されている使用済み核燃料の再処理や高レベル廃棄物最終処分場も決まっていないのに、再稼働だけが先行する事態は常識的には考えらない。台風一過性民族の先送り体質かと考えるしか理解できない。

黒川氏が米国の学者の書物から「日本の文化は中国から伝来されて独自の文化を造ったが、その文化は世界の何処にも存在しない固有種」を引用して世界の孤児になる危険性も指摘している。一国の首相に福一はアンダーコントロールにあると言わせる役人の無責任さが国家を滅ぼす。

 

未分類

東京オリンピック開催と挨俟った観光立国による経済再生で宿泊施設が大幅に不足するなどどマスコミなどは囃しており、民泊で不足を補う他にないと世間は喧しい。昔からマスコミが騒ぎ出したら要注意だが、今回の民泊は分かり過ぎて嫌になる。少子高齢化社会で住宅は過剰になるのだが、先進国の経済を良くするには不動産を動かして消費財の生産を上げるしかないのだが、日本の場合は誰が見ても先行きは暗い。この為、役人などは机上の理論を駆使して国民を騙す作戦を進めることになる。このお先棒を担ぐのが大手のマスコミと御用学者と御用評論家だ。東京オリンピック開催は正に詐欺師のお膳立てが揃ったことになる。

冷静に考えれば分かることだが、金持ちでない民泊する旅行客が増えても無駄な消費はしないので経済効果が期待できないのは自明だ。欧州は観光客が多いが、それでも経済が破たんしているのを見ても分かる通り、観光業などで世界第三位の経済大国の日本のGDPなど増加しない。民泊を煽るのは住宅投資を増やすことで経済を良くしたいと考えているからだ。金融資本主義は昔の京都の経済と似ており、需給で物が動くのではなく、最後にババを引かせるゲームと言える。民泊問題では住宅投資に参入し、売り抜けたものが勝者だ。

絶対需要が期待できない少子高齢化社会で過剰気味な住宅を解消するには民泊の活用が最適だ。本当に世の中には頭が良い者がいると思われる。投資はギャンブルと似ており、収支計算の結果は将来に先送りになっている。この為、誰もが損をしているとは考えないばかりか、自分だけは売り逃げられると過剰な期待感で頭の中は埋まっている。尤も、少数だが損をしない者もいることは確かだが、それは話題になった時に売っている人達だ。大半の人達は東京オリンピック開催までは大丈夫と読んで動いているのは確かなので、ババを引かない為には一度利益を確定することも重要と言える。

 

未分類

国交省は介護施設など不動産投資に30兆円、ホテル不足に容積率の緩和など大々的にマスメディアを通してアドバルーン発言を打ち上げている。この様な記事を目にすると30年前の当時、国交省が建設省や運輸省、国土庁と名乗った時代にマスメディアに同様打ち上げたアドバルーン発言を否応なしに想起した。金融都市の東京にはビルが少ない、リゾート時代到来にヨットハーバーなどレジャー施設が足りないなど民間企業に投資を煽るものであった。還暦を超えた世代は行政に煽られて行ったプロジェクトがどの様な顛末を辿ったかは周知の事実だ。

勿論、当時と現在とは直接金融時代と間接金融時代と金融の背景が大きく異なるので比較しても意味がないと反論されるかもしれないが、アドバルーン発言による仮想需要と実際の需要とのかい離が引き起こす結果は同じであり、不動産証券化手法によるリスクの拡散で被害者は想定以上に拡大することを考えるべきだ。

日本の経済再生には私も賛成だが、日本を破たんに導くような蜃気楼政策には断固反対だ。安倍内閣の政策顧問をしているイェール大学名誉教授の浜田宏一が2013年12月に書いた「アメリカは日本経済の復活を知っている」を再度読み直した。日銀のデフレ金融政策を批判し、世界経済の新しい潮流から日本は孤立していると断言し、今日の経済再生には財政政策ではなく、金融政策が有効と主張したものだ。正に、安倍政権は浜田宏一の提言を受け入れて金融政策により円安と輸出拡大で株価を上昇させて景気回復を目論むシナリオ通りなのが分かる。

浜田宏一は、日銀OBの書いた「人口減少がデフレ原因」に対して強烈に批判している。人口減少は逆にインフレを発生させると断言している。浜田宏一は経済学的視点からではなく社会学的視点から本を書いたと述べた通り、日本の学者やマスコミの問題点を挙げており、幾つかの点で私も真実と評価している。しかし、今日の日本経済の停滞を日銀と財務省にだけ責任を負わせる主張には無理があると言わざるを得ない。1985年9月のプラザ合意に基づく円高対策で行った金融緩和と内需の為の財政出動によって引き起こされた未曾有のバブル経済と崩壊、その後に起きた不可思議な通貨危機を考えると、浜田宏一は世界金融政策に同調するリスクの大きさを考慮していないと言わざるを得ない。

円安が日本を救う考え方は、日本から多くの工場が移転する前の事であり、日本製品の多くの部品が海外の工場から輸入する現在では、円安だけでは解決できない問題が横たわっている。円安で地方経済が再生しないのは地方に工場がなくなってるからに他ならない。尤も、円安で再度国内に工場が戻ってくると期待する意見もあるが、グローバル経済では円安だけで戻ることはない。少子高齢化の日本で低賃金の労働者を確保するのは困難だからだ。

日本経済再生のマイナス要因は非正規労働者の出現だ。小泉政権時代に派遣法を改正して工場労働者に対する非正規雇用者を作り出した。円高に対する為替調整に対応するものと成立時には説明がなされた。非正規雇用が拡大し、現在では雇用全体の40%を占めるまでに至り、低所得者層の大幅拡大は消費の低下を引き起こし、同時に飲食店等は低価格料金の店舗展開を図ったのである。バブル経済後に資産デフレが起きたが、商品のデフレは単に円高だけから起きたものではなく、政府の構造改革などの価格破壊にも起因しているのである。この為、浜田宏一が主張するように金融政策で円安株高になれば、日本経済が再生すると言う単純な構造ではないのである。

経済再生には金融政策だけでは駄目と分かり、国交省が日本国民を再度欺くアドバルーン発言を繰り返し、何時か来た道の悪夢を再生する蜃気楼政策には断固反対だ。ホテルが足りないと言うが、2月には予約が少なかったとホテル経営の知人は嘆いている。国交省に容積の餌に釣られてホテルを造って破たんしたのでは意味がないが、不動産証券化でリスクを分散する社会だから一般投資家は甘い話には乗らない方が良い。人口減少はデフレと関係ないと断言するのは単に労働者のひっ迫だけの視点しか見ていなく、その点から言えばインフレ要因だが、全体の労働者の20%の大企業しか見ていないのでは、日本経済の再生など覚束ない。

 

未分類

日経の記事にJR東海が進めているリニア工事のトンネル工事で地下水脈を断ち切り、水の流れが変わった恐れがあり、今後は生活・産業に影響が懸念されるとの記事を見て都心における地下水の流れの事が気になった。大型開発では環境アセスメントを実施して影響を調べるのだが、都心の場合にはヒートアイランド現象などが指摘されるものの、地下水に関しては工場立地の様に地下水を汲み上げる訳ではないので重要視されていないように思われる。

私が都心の地下水の事が気になったのには理由がある。今から30年近く前に都心で大型ビルを建築した時に敷地の周囲に設置した連続壁が地下水の流れを遮断して隣地のビルの地下の階で漏水が起きたことを記憶していたからだ。また、近年では、弊社が管理する都内のビルで生じている地下に併設している消防用の水槽の満水警報のことだ。都心の地下水に関しては、都内から工場が移転し、住居でも井戸水を使う事がなくなったこともあり、上昇していると言うデータもある。更に、暖冬の影響で集中豪雨などが起きており、当然に都心の地下水にも影響を与えていると思われる。

尤も、都心は道路等を含め地表がコンクリートで覆われているので、雨水の多くは下水道を通して東京湾に流れるのだが、一部は地下に流れ込むことは間違いはない。大型開発で地下水の流れが変わり、更に集中豪雨で流れ込む雨水の影響に関して東京都や国土交通省はデータを持ってるのであろうか。特に懸念されるのは大地震が東京を襲った時に使用されていない豊富な地下水の問題だ。素人ゆえの懸念かもしれないが、多くの人は地上に目を向けて地下に関しては意見が少ない様に思われる。豊富な地下水と書いたが、場所によっては水脈が絶たれ、土自体が劣化して軟弱になっている可能性もある。都心の崩落事故は何れの原因で起きたかは知らないが、地下のバランスを欠いた為に起きた現象であることは間違いない。

古より足もとを見る大切さを指摘する教訓は多いので、高層ビルや高層マンションの建築だけに目を向けるのではなく、地下で何が起きているかも認識する必要があるのではないか。リニア工事における地下水遮断問題は山中の出来事として見るのではなく、他山の石とする事が必要と思料する。

 

未分類

4年後の東京オリンピックと観光立国で宿泊施設の不足(?)を理由に一般住居を宿泊施設に利用できる為の指針が纏められており、制限条項として6泊7日以内が出てきた。以前に分譲マンションの場合には、管理規約で規定する必要があることを指摘しているが、今回は戸建ても分譲マンションも住居用賃貸マンションもゴミの問題について言及したい。

民泊の管理は貸主自身が行う事になるが、民泊と言う営業行為で出たゴミまで従来の様に行政の収集範囲に含まれるのかが争点と考える。住居から出たゴミは固定資産税と住民税の支払いで一般ゴミの収集は無料になっているが、民泊の問題で今後は有料の懸念が起きてくる。

此れまでも財政難からゴミの有料化が指摘されてきたが、放漫財政や議員の定数や報酬の問題があるので、住民の反発を恐れて無料制度を維持してきた。しかし、民泊問題と絡んで今後有料化の議論が出てくる可能性がある。行政は民泊に便乗して有料化を進める可能性も否定できない。

翻って、民泊による規制緩和に便乗したビジネスが増えているが、個人はもとより事業として企画している企業はゴミ問題を考えているかが聞こえていない。マスコミも円安の一時的な現象と同様に気まぐれな中国人観光客の為に生じている宿泊施設不足に対して検証もせずに後押ししている。

先進国なら分別してゴミを出すのは習慣化しているが、世界中を見ると未だ分別など浸透していない。況してや、産業廃棄物など捨てられたら誰が処理代を負担するのか。然も、現状では誰がどのゴミを出したかは分からない。

事故が起きた時の保険の問題とゴミの問題を明確化しないで民泊をなし崩しに認めるのは、社会と言う共同体を無視した暴挙だ。