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築36年で管理規約を制定する難しさは、マンションデベロッパーが購入者の同意を得ないで公正証書規約で制定している事実からも分かります。購入前の設定ではなく、竣工後の大分年数が経過したマンションで管理規約を制定するには区分所有法の特別決議によって行います。勿論、近年の規制緩和の影響で、過去には規約制定には全員の同意が必要でしたが、現在は全体の4分の3の決議で制定できるととは言え、通常の総会の過半数の出席で、且つ多数で決められる議案と比較すればハードルは相変わらず高いのは確かです。

管理規約の大前提は公平さと建物の管理保全に必要な規制ですので、基本的なたたき台は国土交通省が公開している標準管理規約のモデルを参考にし、その上で当該マンションに係る条文を加筆・変更することになります。当該マンションは築年数から既存不適格なのは当然ですが、問題は違法性のある物件だったことでした。しかし、当初案ではこの問題を無視して作成する訳には行きませんので、弊社段階では違法性の問題を念頭に作成しました。

管理規約の内容に関しては、管理組合の役員と居住者の方に先ず説明し、後は区分所有者の人達が条文の是非を議論して決めていただくことにしました。弊社が最初に説明した以外に議論の中に入らなかったのは、自分達で管理規約を作成する意識を持ってもらう必要があったからです。管理規約の制定で最も重要なことは与えれたものではなく、自分達が作ったと言う誇りです。なお、居住者外の方々は容易に参加する機会がないと考えて1ヶ月以上前に管理規約案を郵送し、必要に応じて弊社が内容を説明し、意見を伺う事にしました。

今回の管理規約制定作業で痛感したのは、当該マンションの自治会時代から各所有者の信頼を得て運営をしてきたことでした。この為、外部の所有者で作成の議論の場に参加できなかった方から修正等の意見が出ませんでした。臨時総会の議決権の確保で出欠の確認を連絡した時には、出席できない方から全員の委任状も取り付けることが出来ましたので、理事長さんも驚いていました。理事長さんと役員の方は仕事が忙しい上、腹の立つ個人的な意見も聞きながら皆を賛成する方向に纏めていただいと思います。若い理事長さんでしたが、会計担当の理事さんと共同で粘り強く規約作成に向けて動いてくれたことが成功に到ったと思われます。

臨時総会当日、理事長が議長に就いて議決に必要な出席者の確認を行い、適法に成立したことを宣言して議事に入りました。議事においては、事前に意見を纏めていたこともあり、大きな波乱もなく、順調に推移しましたが、最後に会計担当理事と自治会時代の会長さんと新管理費と修繕積立金の未納の方との精算を巡り緊張した場面がありましたが、管理規約制定後の管理組合運営に過去のわだかまりを解消するには良かったと思われました。なお、全員賛成で管理規約は議決承認されました。理事長さんは呉越同舟の管理組合と理解しており、管理規約制定後も色々と問題が生じる懸念を持っておりますが、管理規約制定により当該マンションは管理運営の憲法を持つことになり、36年目にして漸くスタートを切ることが出来ました。

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管理組合の初代理事長として就任した方は頭の回転が速く、管理組合業務代行会社としては業務をサポートする上で安心感がありました。しかし、一から始める管理組合体制の確立でしたので、想像以上に理事長さんには負担が掛ったと思われます。最大の問題は発足時点では自治会の運営スタイルを踏襲せざるを得ないことであり、管理規約がない為に区分所有法だけでは理事長の業務上の権限に関して制約があり過ぎた為でありました。その様な状況にありましたが、組合発足後には直実に管理組合規約の制定に向けての準備作業は進められました。先ずは、通常総会で管理組合の業務委託及び決算と年度の事業予算の計上などの議案書を作成し、管理組合運営の日常業務を推進できる体制を構築しました。事業予算の中に「長期修繕計画作成費用」と「管理規約制定の費用」が盛り込まれましたので、弊社は建物の調査に着手しました。

建物調査では竣工後に導入された法律による既存不適格に関してはそれほど問題視しませんでしたが、調査の過程で許容容積率オーバーであることに関しては原因を究明する必要に迫られました。弊社は不動産ファンドが購入する建物のデューデリジェンス(DD)を行ってきましたので、過去の建築物には違法性が多いのは認識していました。当該マンションも分譲業者が計画的に1階部分を駐車場として建築申請し、竣工後に店舗に用途変更したものと推察されました。しかし、実証できる建築確認申請図面はなく、自治会で保有していた平面図のコピーでは既に1F部分は店舗になっており、登記も店舗で登記されていましたので、調査としては現状確認に止め、現行平面図で各部屋の壁芯床面積を算出しました。

管理組合から当該マンションの保全の為に適正な管理費と修繕積立金を徴収する必要があり、その為に弊社に対し長期修繕計画書の作成作業を進める様に指示がありました。当該マンションは自治会運営としては管理組合が設立されているのではないかと思うほど計画的に修繕が行われてきておりましたので、長期修繕計画書の作成に際しては、その結果を踏まえれば良く、作成に当たっては緊急的に行う工事がないので、現行の留保している金額で当面は修繕出来ることが分かりました。長期修繕計画書作成後にその必要な支出に見合った管理費と修繕積立金の算出を進め、何通りかの案を管理組合に提出しました。

初代の理事長は一部の反対にもかかわらず粘り強く区分所有者の意見を纏めて管理費と修繕積立金の金額と徴収開始日を決定して後任の理事長にバトンを渡しました。理事長としての仕事は何時も決断を迫られるもので、2代目の理事長も就任早々に屋上の防水亀裂による漏水が最上階の部屋の内装工事で発見されて緊急対応が求められました。管理規約がない状態で緊急性がある工事でしたので総会に諮っている時間的な余裕がなく、工事金額も含めて大きな決断でした。この為に、理事長は管理規約制定に注力することになり、弊社に早急に管理規約のたたき台を提出することを求められました。

屋上防水工事の緊急対応が今回の管理規約制定促進の起爆剤となったものと思われ、理事長就任早々の出来事の上に初めて管理組合の役員になったこともあり、大きなプレッシャーであったと思われます。理事長として業務を遂行する上で管理規約の必要性を痛感したのは結果的にプラスになりました。

<以下続く>

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管理組合業務代行の3年掛りで取り組んできた築36年のマンションの管理規約制定の臨時総会が無事に終え、漸く名実ともに管理組合が発足する運びとなり、良かったとの思いを強くしています。

当該マンションの管理組合業務代行について4年以上前に一人の組合員から相談を受けました。現在は自治会として有志の方が管理に携わっているが、実際には管理組合を設立して管理した方が良いと思うので、自治会の役員に管理組合の業務代行について説明してほしいとの事でした。その後、面談日時が決まり、当日には建物を視察しましたが、20世帯以下の小規模マンション乍ら建物の管理は良くなされている印象を受けました。今回の説明に際しては、長く自治会の会長として務めてきた方が他の方に会長を任せるに際して役員の業務を軽減することを念頭に置いての面談でした。

管理組合の設立には管理規約が必要であり、建物の保全管理には管理費と修繕積立金を徴収することになるが、自治会の会費ではなく、正式に管理費と修繕積立金の徴収の金額を決めるには長期修繕計画の作成も必要な事を説明しました。古いマンションは殆ど同様ですが、竣工図面等を建設会社に預けたままになっていたり、分譲会社が竣工後の管理を行っているケースが多いので管理組合事務所を持たない小規模マンションに関しては分譲会社や建設会社や設計事務所が倒産すると大事な建物に関わる資料を喪失している場合が多いです。当該マンションも分譲会社が破たんしていたので、存在している資料としては平面図のコピーと販売時の物件概要書程度でした。

弊社は手前味噌になりますが、一級建築士事務所として設立し、その後共同事業のコーデネーターやデベロッパーとして共同事業によるビル・マンションを建築した実績があり、30年以上前から管理組合の運営管理を行ってきたので、管理組合の業務代行に際しては、他社に追随を許さないものがあります。弊社の業務から建物の長期修繕計画の作成や平面図から区分建物の壁芯面積を計算することは容易です。更に、関係会社では建物のメンテンナンス業務を行っているので、適正な管理費の設定が可能と言えます。

然しながら、弊社のノウハウを活用するにしても数名の理事の方は必要であり、20世帯以下の小規模マンションですが、引っ越して現状は賃貸物件として利用している不在地主も多く、如何せん居住している方に管理上の負担が多いのは避けられないと言う現実がありました。それらの実情を踏まえて新しく就任した自治会の会長を区分所有法に基づく理事長として弊社の管理組合業務代行はスタートしました。

<次号に続く>

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電通・女子社員の自殺から急に企業の従業員の労働に対する国側の必要以上の干渉が始まった。過剰労働の問題が何時の間にか消費を増加させるための早帰りに転化してしまった感がある。ここに来て以前から指摘されてきた労働力不足問題も取り上げられ、早々と特区で家事代行に就く女性20人がフィリピンから入国してきた。待ってましたと言わんばかりに宅急便業界の過剰労働とコンビニの人手不足が新聞やTVで取り上げられてきた。確かに、弊社でも清掃業務で募集しても容易に応募者が現れない事は事実なので人手不足は痛感しているが、それは飽く迄も業種によるのである。

人手不足と一言でいうのは簡単だが、最近のマスコミで特に人手不足と伝えられるのは、「宅急便」、「コンビニ」、「飲食店」の御三家と言える。この御三家の過剰労働と電通の女子社員の過剰労働は全く違うのだが、マスコミを通すと全て一緒になってしまう。御三家は正に体を使う労働だが、電通の女子社員は頭脳労働者と思われるので、過剰労働の問題は本人の問題とも言える。勿論、広告会社勤務の知人がいたので拘束された長時間労働の話は聞いて知っているが、知人は好きで入社した業界なので辛いと思ったことはないと言っていた。

過剰労働の御三家の場合は兎にも角にも体を使う事が求められる訳だが、宅急便の人手不足はネット企業による大幅な需要から生じたものであり、当初設計の宅急便事業と大きく変動した事が全ての原因である。コンビニも生き残りを掛けて必要以上の陣地獲りの競争激化に起因するものであり、人手不足を助長させている。飲食店も同様に店舗数の拡大が利益拡大と相関関係にあることと、貸出先に困っている金融機関が飲食店の過剰進出を助長させて矢張り人手不足を助長させている面が大きい。

少子高齢化社会到来なので労働力の不足は確かだが、必要以上のサービスや出店競争で人手不足を生じさせていることにも問題がないかを検証する必要がある。宅急便の問題はネット企業との配送日時の問題なので、本来ならば税金を投入して宅配ボックスを設置する必要があるかどうかを熟慮すべきだ。

尤も、政府としては一石三鳥を狙った政策を進める為に労働問題を必要以上に取り上げていることは間違いないと思われる。しかし、場当たり的な政策ばかりを続けているとオオカミ少年になってしまい、肝心な時に国民はそっぽを向く危険性があることを考えるべきだ。移民政策を進めるならば東南アジアに無料の日本語学校を作り、語学と日本文化を教えて受け入れる体制の構築を行うべきだ。欧米の轍を踏まない為には移民を希望する国々に日本語学校を作って日本文化を教えるのが先だ。本当に日本の政治家は無能だ。

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昨日、都心で外人旅行客を対象にした宿泊施設を運営する経営者の方と話をしたら政府の民泊まで必要とする発表と現場とは違う事を指摘していた。

私は矢張りそうかと思った。政府が民泊はを言い出した時から民泊の本当の狙いは空き家対策であり、インバウンドはそれを国民に促すための理由づけと推測していたからだ。勿論、日本は資本主義の競争社会だから全部良くなるとか全部悪くなるわけではなく、立地やアイデアで差別化を図れば供給過剰になっても問題はない。政府としては、将来的な需要予測に基づいて不足を指摘しているのだろうから単純に考えた国民が馬鹿となる理屈だ。

何れにしても、低成長経済になった先進国では住宅など不動産需要を起すことで景気動向が左右されるので、少々の過大予測は許されると思ってるのだろう。ドルが実体経済を上回り、今や3倍もの資金が世界中に飛び交っている時代なので、何かを創造しないと経済は成り立たない。有名経済学者が破壊と創造を提唱したが、本当の意味は破綻と処理なのではないかと思われる。破綻した資産を安く買い叩いて収益を上げる構造だ。

日本は鎖国時代に同様な経済を経験していることに気が付いた。内需でしか動かせない経済なので、最後に誰がババを引くかの騙しの取引ゲームだ。正に、京都経済はその仕組みで動いていた。現代において京都生まれの企業が健闘している素地は近代以前の商業の習慣から生まれてるのかもしれない。

余り人を馬鹿にしたような議論を進めると批判が大きいので、冗談はさておき、日本人は新聞を情報源として動く国民なので、一斉に同じベクトルで動くのでリスクが大きいと認識する必要がある。以前のブログで北海道の知人の和尚の年賀状の文面を書いたことがあるが、それには「正しいことは、字を分解すると、一度止まることを意味する」ことを指摘していた。肝に銘じる必要がある。

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日本国民の生活にはデフレが良いかインフレが良いかを問う前に安倍政権のインフレ政策の方が良いと考える方が多いと思われるが、その理由は円安の輸出政策や日銀の金融政策ではなく、正に補助金が安倍政権を支えているのである。補助金の野放図のばら撒きによって国内の経済がどうにか下振れしないで均衡を保っているのである。良く言われる株高が景気が良くなると指摘されるが、株高で得た資本を企業が国内の投資に回したり、従業員の給与を増やせば指摘通りだが、現代は株高に比例するほど国内に投資を行わないし、従業員の給与などは増やさないどころか、効率経営の掛け声のもとに正規社員を減らし、雇用が安定しない非正規雇用者を増加させているので、経済に有効な消費を減らす行為ばかりを行っているので株高など国内的には大きな効果がない。

日本はバブル経済崩壊後に資産デフレが引き金に経済的なデフレに陥ったと指摘され続けている。その内、デフレの原因は人口減少だったと書いた本がベストセラーになり、次第に本質から遠のいてしまった感がする。本当はデフレになった原因は役人は別とすれば給与が上がらなくなったからだ。勿論、ニワトリが先か卵が先かの議論になってしまうのだが、大企業の内部留保金を考えると、給与を上げなくなったことが消費に影響し、デフレ状態を継続させている一因なのは間違いない。尤も、金融資本主義の導入で大企業も役員の報酬は何倍もになり、億ションなどの販売が好調になったが、所詮少数の人達の消費では日本経済全体に対する影響などたかが知れている。昔から貧乏人(失礼!)に金を使わせることが景気回復の近道と言われている。江戸時代は庶民も良く理解しており、落語の世界の如く「宵越しの金は持たぬ」は循環経済が自分の為になることが分かっていたのである。しかし、現代の経済は少数の金持ちを作るだけに邁進しており、それ以外の所得は下がるばかりである。正に、グローバル経済とは一物一価になるまで発展途上国の人達の給与は上がり、先進国の人達の給与は下がり続けて世界中の国が賃金でフラットになるまで続くことを意味する。

勿論、最近の技術開発が社会を全く更新する程の物ならば相転移と言う変化で新しい時代になって再度豊かさが戻る可能性もある。確かに、AI、ロボットなど過去からの技術だが今日的には飛躍的に進歩しているので、今は社会の相転移の苦しみかもしれない。しかし、IT技術が人の職場を奪うのだけを見る限り、今回の相転移は人にやさしい物とは言えないと思われる。ロボッテが人に変わるならば、ロボットに人頭税的な物を掛けて徴収しないと現在の仕組みでは国家が成り立たないのは自明だ。専門職がIT技術の発展で職を奪われているのを見ると、昨今のAI技術を考えれば、弁護士など記憶やルールに基づく専門家をAIに取って代わられると思われる。

社会はパラドックスの塊だから予期せないことの連続だが、デフレが解消しないのは人口減少などが原因ではなく、国民が意識的か無意識的か不明だが、否応なしと考えた方が良いかも入れないが、生活を維持するためにデフレを望んでいると言う事実だ。本音は円高でデフレならば生活は良いのかもしれない。日本ではベンチャーキャピタル投資が2000年をピークにその後減少し増加していない事でも成長に期待できないと考えている証拠と思える。

問題は安倍政権で行っている財政金融政策が将来の日本にツケとなって回ってくることに対する懸念だが、世界の経済を見ると日本だけの問題とはならずに金融資本主義が米国発のご破算で起きる可能性が高い。理由は30年以上もGDPも株価も上昇している米国なのにそれを否定するトランプ大統領が出現し、グローバル経済で成長している米国の仕組みを崩壊させ様としているからだ。中産階級目線で見れば日本国民も米国国民も同じと思われるが、米国は移民・不法移民がグローバル経済の成長分を吸収しているので、不法移民に反発が生じている。しかし、グローバル経済の縮図が米国内であるので、移民・不法移民を排斥すれば、確かに給与の高い中産層に雇用が戻るかもしれないが、その結果、GDPと株高が反転するとき株の暴落が起きる可能性が高い。

米国発の株の暴落で世界経済が混乱することなど考えたくもないが、トランプ大統領の出現で起こりえる確率は高まったので、それに対して日本国民が経済悪化に最低限対応するために必要なことは農産物などの食料の自給率を高めることと考える。農本主義者と指摘されるかもしれないが、もし大恐慌で万が一円が暴落したときを考慮すれば、国内で食料が自給できることで国民は生存できるので、安い海外の農産物の輸入などに惑わされずに自給率を高める事を願うばかりだ。現在のデフレで懸念することは農産物等の食料の自給率低下だけだ。

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タイトルと内容にズレが生じて来ていますが、私のブログの特徴なのでご容赦願うことにし、何故日本のデフレが執拗に続くかを改めて考えると、一番の問題は刷り込みに対する国民性に関係しているのではないかと。この国民性が戦前は日本を果てしない戦争に引き込み、現代は何の科学的根拠もなく、物の価格はもっと下がる筈と言う思い込みがデフレを長引かしている。

日本経済は開かれた欧州の先進国の経済と異なり、戦後の繁栄は国内的に高いコストを受容して「風が吹けば桶屋が儲かる」方式の鎖国主義的な循環経済で繁栄を享受していたと考えられる。この為、海外からは輸出製品と国内製品との二重価格を指摘されて非難を浴びたのである。勿論、全く同じ製品を違った価格という事ではなく、TVひとつとっても装飾的な面で違いがあり、国内仕様は木製の豪華版であった。勿論、戦後はインフレの為に物の価値が高く、従って豪華製品仕様にする必要があったとも推定される。1980年代のバブル経済までは国民は高くても製品を購入していたので、巡り巡って自分の収入に跳ね返ってきたのである。

しかし、バブル経済崩壊後にデフレ経済になり、その後はITと金融資本主義がグローバル経済を推進させて一物一価の理論が成立する考え方が浸透してきた。また、マスコミも国内価格が必要以上に高く、電気製品等に関してはガラパゴスと言って発展途上国仕様の必要性を囃したてた。勿論、デフレ経済で給料が上がらない状況においては、物の価格が安くなることは実質的に給料が増加することなので、国民は大いに物の価格引き下げに邁進することになった。茲に効率化と言う便利な物差しが出てきたので、全ての業界で効率化が進められてきた。尤も、海外に輸出する製品を持つ企業ならばこの考え方は間違いではない。しかし、国内需要だけの企業にとっては、利益率の減少と競争激化の嵐に晒されることになり、逃げ道がないのである。地方の疲弊は国内の消費に依存している企業が多いのでダメージは大きかった。然も、海外から安い輸入品が入ってくるので尚更厳しい環境となった。

国会議員、学者、官僚及び勝ち組と言われる人達は、企業も個人も創意工夫すれば成長できると囃し、金融政策や財政策を駆使すればインフレ経済になり、日本経済が再生すると訴えている。しかし、日本国民のスイッチをインフレ経済からデフレ経済に切り替えてしまった事に気が付かずに幾らインフレを起そうとしても無駄な事とは理解していない。20年の間に少子高齢化の社会を予測していたにも拘わらずに非正規雇用者を増大させて一層少子化になる政策を進めてインフレになる芽を全て潰してきたのである。部分最適な政策を進めてきた結果がデフレ経済の深刻化を招いたことに気づきもしていない。マイナス金利政策などその最たるものだ。安倍政権は大手企業の賃上げや消費に結びつかそうと労働改革に注力しているが、死んだこの齢を数える行為に過ぎない。国民はデフレ経済に満足しているおり、現状では生活が厳しくなるインフレなど少しも歓迎していない。

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言いたい放題で書き進んできたが、世間でエリートと言われる人達は私の書いた者など一顧だにしないと推定できる。何故ならば、データの裏付けを明示していないからである。エリートの方と議論すると必ずデータの裏付けがあるのかと聞いてくる。人を納得させるには感覚的なものではなくデータが必要なことは自明だが、日本経済がデフレの循環に陥っているのは正にデータ主義と部分最適で物事が決められているからだと思われて仕方がない。尤も、データが大事と会社の業績悪化の苦し紛れに政府が発行する統計データを見て新規部門に特化して成功した企業物語もあるので、尚更データが大事となった。優秀な人だとデータをタテとヨコとナナメから分析するので、最終的には平凡な答えしか出ない。しかし、凡人はデータを見て特化した専業会社が居ない事に勝機を見て進出するので、偶然に時代が微笑みかければ大成功するのである。問題は偶然に時代が微笑みかけると言う点である。

余りにも人口に膾炙しているので耳にタコである、一代で大事業を築き上げた人の「会議で皆が賛成する事業は成功しないので行わない」と言う格言だ。データ主義は言い訳に使われ易いことを認識するべきだ。特に、データは切り口次第でどの様にでも料理できる代物であることも同様だ。昨今は人の消費行動を分析するメガデータの活用が指摘され、一定の成功を上げているので、尚更データ重視主義に陥っていると思われる。

それではデータ以外に何を信じて判断すれば良いかだが、経済の難しさはタイミングであり、黒田日銀総裁が行った異次元緩和も18年前なら成功したと考えられる。更に付け加えると、日本だけを見るとグローバル経済がデフレ現象を引き起こしていると思われる。50年前と違い、日本経済のGDPは500兆円もあり、輸出25%、内需75%で動いているのに生活感に豊かさがないのは非正規雇用者増大と地方経済の疲弊、更には生活様式の変化と指摘できる。地方の疲弊の最大原因は農業・林業・漁業の衰退である。地方が都会と比べて都会程の豊かだった時代はないが、それでも公共事業と円安時代の工場の地方移転で所得は上がった。地方が豊かになった歴史を見れば、今の衰退は一目瞭然だ。然も、多少豊かになった時代に行った無計画の街づくりも今日の衰退の一要因だ。

時間を巻き戻すことは出来ないが、地方を豊かにしないと日本将来はないことを考えると、景気や円高で変動する観光資源の活用ではなく、再度農業。林業・漁業に目を向ける事が重要と思われる。更に、交通インフラの整備は一見すると地方都市に貢献しているかのようだが、経済的にはお金が素通りしてしまう構造となっているので、必要以上の交通インフラ整備は無用と思われる。国土交通省がコンパクトシティなどを進めているが、地方再生には役に立たないプロジェクトだ。

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アジア通貨危機は正に日本の金融機関にとっては金融機関の主導(共同債権買取機構)で行ってきた不良債権処理を国の主導(整理回収機構)に転換することになった事件である。また、同時に日本の金融機関の不良債権処理がフェイズⅢになったので自分たちの出番と海外のハゲタカファンドが日本に大挙して上陸してきたのである。

1997年~2005年には金融機関の不良債権処理も一段落し、大都市などでは不動産価格も上昇したが、その後2007年に米国発のサブプライムローンによるリーマンショックが起きたので、国内の景気はデフレ脱却には到らなかった。しかし、1998年はウィンドウズ98が発売され、インターネットのブームが起こり、世界経済はグローバル経済に急速にシフトして行くことになる。国内に目を奪われると見えなくなることだが、バブル経済崩壊後でも少しも業績に影響を受けなかった産業がある。自動車産業である。また、国内の消費の低迷から海外の販売に注力した企業は業績を拡大し、売上的には大幅に増加している。更に、国内でもデフレに対応した低価格販売を推進した企業は大きく成長している。

バブル経済真っただ中のGDPは320兆円、バブル経済崩壊後の2000年のGDPは500兆円を超えている。GDPは増加してるのにデフレは続いているのは何故か。金融資本主義の導入で勤労者の対して利益を還元しないで株主に還元する経済システムになったことも一つの要因だが、最大の要因は価格を破壊するデフレ企業に金融機関が積極的に貸出しているからだ。

飲食店舗に目を向けると、バブル経済崩壊前は開店資金が多額なので容易には出店できなかった。しかし、リース会社の丸ごと店舗などにより資金が無くても出店が可能になり、飲食店舗業界は供給過剰になった。その結果、価格破壊が起きてしまった。このブログを読んでいる方は価格破壊が起きて何が悪いと言われると思うが、金融緩和でお金が市場に回されるほどデフレ企業の投資が盛んになり、デフレ企業同士の競争が激化し、更にデフレになる悪循環が起きていることを言いたいのである。

翻って、付加価値の高い物を生産したり提供すれば良いと反論が出ると思うが、少子高齢化社会の到来で社会医療保険の崩壊も指摘されている中で、国民はお金を使わないと言う現実だ。安倍政権は金持ちを作ればベンチャー企業に投資し、新たな企業の出現で雇用も増えるので、格差社会でも十分に景気回復は可能と判断しているが、少数の金持ちが使うお金より、普通の人達が使う金が経済的には遥かに大きいことに気が付いていない。基本的に金持ちはケチだから金を蓄えたのであることを忘れている。

この様に書き進めると悲観論者の様に見えるが、私は悲観論者ではない。私が言いたいのは現在のデフレは国内の金融機関の貸出先の問題とグローバル経済の構造的な要因で起きているので、金融政策や財政政策を行ってもインフレにならないという事である。

(次のブログに続く)

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日本が経済デフレに陥って景気が回復しないと言う考え方が一般的だ。しかし、私は別な観点から日本が置かれている現在の経済的環境は古典的な経済デフレではないと最近考えるようになった。勿論、私は理系の人間で経済学など学んだ経験がないので、私が思うのは独善的な解釈である。確かに、日本が経済学的なデフレに陥ったのは経済バブルが崩壊して資産が下落し消費が減少した為との説は経済理論から当然な分析結果と否定はしない。しかし、安倍政権になって過去にないデフレ退治の政策を行っているにも拘わらず一向にデフレから脱却できないのは承知の事実だ。専門家は金融政策、財政政策などマクロ経済からデフレ脱出の処方箋を提案してるが、実際に動いている現場の構造の変化を理解しないとマクロ経済など偉そうに論じても的を得た分析になっていないと思われてならない。私が敢えて市場と言わないで現場とミクロ的な表現を使ったのは、そもそも市場と言う捉え方が間違っていると考えるからである。

尤も、経済理論を批判する考えはないので、何とか理論など無視して私の荒唐無稽な分析を述べることにする。日本はバブル経済が崩壊し、不動産担保金融が破たんして金融機関は10兆円を超える不良債権を抱えることになったのは事実だ。しかし、バブル経済と言っても企業にとってはその需要に合わせて設備投資しているので問題はバランスを欠いた設備投資となった分に対して如何に償却を図るかだが、日銀は実態と合わない金融政策を導入して無理矢理バブルを壊して不良債権を築かせたのも紛れもない事実である。その上、バブル経済が起きた原因を分析せずにバブル経済崩壊後にとった政策が全ての間違いと考える。

バブル経済が起きた原因はオイルショック後の日本企業の回復とその後の急速な円高、更には米国の圧力による内需拡大政策であった。また、更に悪い事には重厚長大産業による設備投資が減少し、大手金融機関にとっては安定した貸出先が望めなくなったことであった。円高になっても未だ国内の需要もあり、国内工場の海外移転が加速することはなかった。しかし、バブル経済の崩壊により、国内の需要が減少するにつれて輸出に注力する企業は国内工場を中国や東南アジアにシフトし始めた。国内設備が供給過剰でありながら輸出の為に海外に工場建設して軌道に乗ってきた時にアジア通貨危機が起きて元の木阿弥どころか金融機関取っては国内と海外とのダブル貸し出しの不良債権になってしまった。

(以下は別のブログに続く)