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関西新空港が台風の影響で数千人が空港内に閉じ込められた事と空港敷地の埋立地が沈下している報道を聞いた時に38年前に運輸省(現国土交通省)でのことが記憶の彼方から蘇ってきた。関西新空港の建設候補地は最初は神戸沖であった。新空港の計画は大阪空港が市街地に立地し危険であることと国際空港としては規模的に小さいこともあり、当時の関西経済団体の要請で浮上してきた。関西新空港プロジェクトは当時は未だ企業に東京と大阪の二本社制も残されており、今からは想像できない程ライバル意識が強かった時代の無理押しでもあった。その事は国際空港ではないが、関西新空港完成後に廃止予定であった大阪空港が現存している事でも分かる。東京に東京新国際空港が出来たならば関西にも国際空港を作れと言う最初から政治的な要素が強いプロジェクトだった。運輸省では建設費が安く付く地盤が良い神戸沖を候補地として兵庫県と神戸市に対して調整を図ったが、神戸市からの反対で新空港建設はとん挫したかに見えたが、関西経済団体は現在の立地場所の泉州沖に新空港を建設するように政治に働きを掛けた。土建政治のピークの時代なので建設には厳しい場所ではあるが、大きな利権になる建設計画に対し政治と企業団体が手を握って実現に向けて動き出した。運輸省は泉州沖に関して軟弱地盤の上、潮流も激しい場所なので最後まで神戸沖の可能性を探っていた。しかし、結局は関西経済団体の政治圧力に屈して泉州沖の関西新空港プロジェクトを進めざるを得なくなった。私が何故40年近く前の出来事を書くかと言うと、忘れられた出来事を再度人口に膾炙し、関西新空港建設に対する政治家と経済人の責任を明確にし、今でも同様の将来に禍根を残す色々な事業が進められている事に対する問題提起である。尤も、プロジェクトが決まると官僚も追従して利権の分け前を貪ったので、最終的に政官民が結託して国家を食い物にした典型的な事例であった。無理な話だったが、関西新空港計画には埋め立て計画の他に浮体工法の計画もあった。しかし、政治力がある建設団体を敵に回して正論が通ることはなく、スーパーコンピューター(当時は大型計算機か)で100年分の地盤沈下に対する解析を行って軟弱地盤対策工事を錦の御旗に埋め立て工法に決定した。関西新空港プロジェクトを推進した多くの人達は物故していると思われ、私の批判に対して反論できないので建設擁護者からは死者にムチ打つと言われそうだが、推進者達も現状を見ると反論の余地などないことに気付く筈だ。話は変わるが、沖縄の辺野古基地も埋め立て工法だが、工法の議論の中にはサンゴ礁を維持することや将来に必要なくなった場合を想定しての浮体工法も検討した様だが、台風懸念で一蹴された様だ。今でも土建政治が罷り取っていると思われ、国益を損ねている様だ。余談だが、関西新空港の建設が決まった後に運輸省を訪問した時に担当課長は神戸沖建設反対の神戸市に対して怒りが納まらず、神戸沖には絶対空港を作らせないと言ってたが、ご存知の通り、現在はローカル空港だが、神戸沖空港が出来ている。時間の経過は全てを記憶の彼方に追いやって過去の反省など何処にも存在しない。同じ過ちの繰り返しが1000兆円を超える赤字国債発行であり、国民にツケを回す政治経済だ。当初予算の倍以上掛って完成した関西新空港だが、完成直後からトラブルが続きで予想を超えて今でも地盤沈下が続いているので、本来ならば、関西新空港を廃止し、今こそ神戸沖の空港を拡張して新空港とすべきと思われる。日本人にその様な決断を期待しても無理な相談だが、その決断が今後の地盤沈下対策工事費を考えると血税を無駄にしない方法だ。馬鹿な連中は根本的な理由を理解せずにオペレーションを民間に移行すれば解決すると安直に考えて長期の契約を締結した。オペレーションが黒字になっても地盤沈下の対策工事や波による護岸被害に対する工事の費用は発生するので血税の垂れ流しは変わらない。否、分かっているからこそ国民の目を逸らすためにオペレーションは民間に任せたと見るべきかもしれない。今回の台風で数千人が空港内に閉じ込められたが、空港スタッフの対応が悪いと非難が起きている。当然だろう。オペレーションを引き受けた会社は利益を出すことに注力しているので、災害に対する備えなどに十分に対応していない筈だ。関西新空港は民営化以前の政治的な決断を必要な問題だが、小選挙区制度で小粒になった政治家に期待できないのは最悪のシナリオと思われる。

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10数年ぶりに友人から電話が入った。友人は国を守る仕事からリタイア後は建物を守る仕事に就いて役員として現役を続けている。10代に彼との縁を作ってくれた親友が彼の実家と近くなので時々状況は聞いていた。彼は長男なので相続で地方の資産を継承し賃貸に出していることは聞いていたが、今回の電話の内容は主たる賃貸物件が解約となる為、その後の活用に関しての相談だった。地方の名門校を卒業したので、地元で不動産業を営んでいる高校の同級生に相続後の資産活用に関してはアドバイスを受けてきたが、地方では解決策が見いだせないので、東京在住の私に相談して見るかとなった様だ。地方と言っても東京から60kmなので、一応首都圏に入るエリアだ。しかし、地方の衰退を象徴している様に土地が売れず、貸したくても借り手が居ない状況に先祖から継承してきた資産を維持するのに苦労することになった。彼とは彼の前職時代に家を購入する時に住宅ローンに関して「固定金利」か「変動金利」かで相談を受けて結果的に失敗させた苦い思い出がある。サラリーマンなので多少高くても長期的なローンであるので固定金利が無難と判断したのだが、彼の奥さんは変動金利を勧めていた。結果は私の大きな誤算だった。低金利が継続し、今やマイナス金利になったのである。経験など役に立たない世界が到来した。今回の電話で相談を受けた時に私は開口一番に奥さんが私に相談することを知っているのかと訊ねた。私にとってそれほど苦い思い出であり、振り返るのも嫌な出来事であった。翻って、リーマンショック後に金融危機を防ぐために先進国など国が行ってきた金融緩和策も2018年を境に反転する動きが出てきた。金利の上昇や資金回収の動きが出てきた中で新興国の発行した国債や企業の社債の返還が始まることになり、国家と企業のデフォルト懸念が出てきた。「低金利の罠」とも言うべき事態だが、日本も余りに長く低金利の中で事業が進められてきたので、金利上昇による事業の採算性など危惧する面が大きい。尤も、日銀も表面上は低金利策を継続すると言っているが、欧米などで金利上昇が進めば日本だけ低金利政策を維持するのは厳しくなることは一目瞭然だ。水面下では金利上昇に備えた研究が始められていると思われる。金融緩和政策は世界中の国に経済発展と豊かさをもたらしたが、その過程では金融緩和の毒も入っており、未来投資に名を変えたギャンブル投資紛いのプロジェクトも多いと推定される。金融が厳しくなった時に真価を問われるのだが、過去の経験が通用しない新興国の国債と企業の社債の償還ラッシュで何が起きるのかを必死に想像力を働かせて考える必要がある。

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尾道 (640x360).jpg夏の休暇にパートナーの故郷の広島県尾道市を訪れた。義父の墓参と施設に入居している義母の面会以外は何も予定を入れずにのんびりとした旅程とした。この為に、今回のテーマに言及することになるのだが、官民挙げてインバウンド効果の経済効果を期待し取り組んでいるが、専ら問題点は宿泊施設に偏っている。しかし、外人旅行客が観光地を訪問するのは日本人の多くの様な土日祭日に集中する訳ではないのだが、観光地の施設の運営に関して問題点を指摘している人は見かけない。若気の至りで過去に観光地の施設で多くの高齢者が並んでいたのに腹を立てて「年よりは暇なので平日に来れば良いだろう」と聞こえる様に独り言を言って叱られたことを思い出した。一人の年配者が「若いのは何も分かっていないな。平日は施設が動いていないので、仕方なく休みに来ているのだ」と馬鹿にされた。尾道で過去の苦い思いが蘇ったのは、金曜日に尾道に入り翌日の土曜日はフリーにしていたのだが、東京に住んでいる義兄からLINEで出来るならパートナーに尾道の従妹に会わせて欲しいと要請されたので、。急遽土曜日に連絡し従妹のスケジュールの関係でその日に会うことになったのである。日曜日は予定が入っていたので、フリーな時間は月曜日の平日になったのである。船着き場が階下にあるホテルに泊まっていたので、尾道から鞆の浦まで船で遊覧することを計画し、一日2便の遊覧船に乗る為に船着き場に降りた。午前10時の遊覧船に乗船する場所を確認する為に艀にいたスタッフに聞いた所、遊覧の運行は土日だけの営業と聞いて驚いた。日本の観光地の施設は平日営業しないケースが多いことをすっかり失念していた。尤も、同じ観光地でも大分県の杵築に旅行した時には休日に飲食店舗は営業していないのに困った経験もしていた。観光地と言っても地方は経済的に疲弊しているので、フルに営業をするのには無駄が多いので限られた日に開業するのはやむを得ないかも知れないが、何回もチャンスがない外国人旅行者にとっては施設が動いていなかったらがっかり度は日本人の比ではない筈だ。インバウンドは為替の影響を受け易いので、上記の件を直ちに改善するには難しいかもしれないが、インバウンドを経済再生の一つの柱に見るならば、宿泊先や言葉の問題と同様に観光地などの施設の稼働をチェックして利用者に対して何とか工夫するのは必要と考える。

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今年の猛暑には辟易してると思われるが、暑さについて地球の温暖化の影響か太陽の活動の影響かは専門家に任せるとしても今後も続くようだと色々な面で変化が起きると思われる。昨夜は新聞販売所のスタッフが集金に来て暑さに関して話したのだが、毎年今年の暑さが続くなら夕刊の配達時間を遅らせるしかないものの、営業と配達との労働時間の問題もあり、安倍首相も働き改革で目を配ってほしいと言っていた。私が暑さで動物や昆虫の生態も変わると話したら、新聞スタッフの方が人間も動物だから影響を受けると嘆いていた。勿論、猛暑の影響は生き物だけではなく、弊社の建物管理に関しても屋上のエレベーター機械室の温度が50度を超えるなどした為に性能維持のために温度を下げる緊急対応を余儀なくされている。情報化時代なので電子機器の基盤を使った設備機器や装置が多く、この種の機器は高温に弱いのが特徴だ。開放系の場所なら温度も下がるが、閉鎖系の場所の場合には想定以上の温度上昇も懸念され、機器の故障が事故に繋がる危険性がある。電子機器の不具合は暑さによる劣化で起きることもあり、直ぐには故障しなくても寿命が短くなることは十分に考えられる。IOTが便利な快適な社会を作るプラス面を強調するが、物事には両面があり、マイナス面について考えるのはメンテナンス業界の宿命でもある。日本は水が豊富だが、川は急こう配が多く、海に流れ込むのが早く、貯水に関しては良くないので、猛暑は水の懸念もある。尤も、現時点では、水不足より集中豪雨の弊害の方が多いので忘れ去られている様だ。猛暑のプラス面は余りないが、32度以上だと活動が鈍る蚊に刺されるのが少なくなったの数少ないプラスのひとつか。何れにしても、異常気象は建物管理業界にとっては想定外の出来事が起きる可能性が高く、日常的な管理の重要性が増している。しかし、現場は無人化が進み、中小ビルでは遠隔監視が主流なので、IOT技術が異常気象に対応できるシステムとして機能する配慮が必要だ。

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先日、NYで弁護士をしている知人がセミナーの講師として来日したのでランチの機会を設けた。話題は勿論トランプ大統領だったが、米国の景気は予想以上で知人の子息がNYで購入後3倍になったコンドミニアムを売却したのだが、その後更に値上がりして10倍になった話を聞いた。3倍で購入したのは中国人だったそうだが、10倍に上昇したのは驚きだったそうだ。NYでは古い賃貸住居の借主が立ち退かされて新しいコンドミニアムが建設されているそうで、1ベットルームで1億円以上の価格が付いているそうだ。知人の弁護士はバブルとは言ってないが、私の感覚からすれば資産バブルになっていると思われる。景気の衰えを見せない米国経済だが、知人の話ではトランプ大統領は再選もあり得るとのことであった。米国は年々格差が広がっており、その不満をトランプは利用していることは間違いない。トランプ大統領に関してはメディアを通して理解する為か素顔が見えない面があり、今回良い機会だったので、知人に考え方を聞いた所、正に彼の場合は"理解"が"利解"と考えれば良いとの説明を受けた。政治家としての実績もなく、ビジネスマンとして成功したかと言えば、その点からも疑問視されるトランプだが、全てに対し【利】で動いているので、信頼して行動を共にすると梯子を外されるリスクがあると指摘があった。安倍総理もトランプ大統領の関係を過去の中曽根首相とレーガン大統領との関係にダブらせると痛い目にあう可能性もある様だ。中国との貿易摩擦に関しては、短期的には米国の勝ちだが、長期的には中国有利との見方であった。その理由は、ドルと元の通貨の決済方法であり、長期的には元の貿易での通貨としての役割が増して米国は貿易戦争で長期的にはドルでの決済の低下でマイナス面が出て来るとの分析だった。知人は弁護士ですので、セミナーでの講演では米国のイラン制裁に対する日本企業の理解の仕方では技術的な面に言及し、一見すれば制裁対象外に見えても米国企業との取引関係で制裁される危険性を指摘したとのことだった。英国のEU離脱を歓迎し、EUを目の敵にするトランプだから日本が纏めたTPPに対しても不参加以上に腹の中は敵意に満ちていると考えた方が良い。トランプは福音派と言われる酒も飲まない信者だ。【利】以外に思考の中にあるのは宗教だが、女性関係を見るとどの程度なのかは分からない。何れにしても、トランプ大統領に関しては北朝鮮問題に見る通り、交渉中であれば猶予を与える考え方が強いと思われ、如何に交渉にテーブルに着きながら有利な答えを出すかを考えるべきと思われる。

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建築基準法の緩和で民間の検査機関が誕生し、その後に構造計算で不正な建築物が発覚し、建築設計に関わる技術者の資格の面で改正が行われた。建築設計には、「意匠」、「構造」、「設備」に係る専門技術者によって業務が分担されている。過去の建築物の様に設備が受電・消防設備・給排水を考えれば良かった時代には、特に「設備専門」担当を置かずに一級建築士の設備担当で行えた時代であった。しかし、建築物に受電・給排水以外に空調設備、消防設備、ビル管理システム、屋内機械式駐車場設備など建築工事費に設備の占める割合が増大した昨今では、設備担当も電気、機械などを専攻した技術者でなければ対応できなくなり、当然に一級建築士の資格者ではない技術者が担当することになった。しかし、資格制度改悪後には、一定規模以上の建築物の設備を担当する技術者は一級建築士の資格が必要になった。この為、業界ではOBとなった一級建築士の設備担当の経歴を利用することでその場を凌いだが、問題はその後に起きてきた。中小設計の設備設計事務所には一級建築士の資格を持つ設備設計担当者が極端に不足しているといった状況だ。大企業しか見ない役人の馬鹿さ加減と建築士業界の行政追従と権利拡大の机上の空論だ。困るのは国民であり、規模の小さな建物しか扱えなくなった設備設計事務所だ。今後は多くの設備設計事務所が廃業を余儀なくされ、大手設計事務所や建設会社に仕事が集中してしまうことになる。中小の建築設計事務所も設備設計事務所がなくなれば、規模の大きな建築物は扱えなくなり、痛手だ。建築設計に意匠と構造は一体化したものだが、設備に関しては耐震性など以外に建築の知識より、電気と機械の専門知識が必要だ。電気と機械の専門知識と同じ様に建築知識を必要となると負担が大きくなり、建築設備に従事する人が少なくなる懸念がある。現実無視の事例を見るにつけ、日本は本当に今後も国際的に競争力を持つ国として歩んで行けるのか不安になる。制度改悪になった構造偽造事件も役人が招いた事で、反省も何もない。困った事だ。

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外壁診断の相談を受けていたアドバイザリー先の会社の資産管理担当者から用件が終わった後に当該建物に関してPM会社から窓先空地が取れていないと指摘があったことを話して来た。エンジニアリングレポートも作成された物件で、購入時にはレポートにも指摘事項がなかったと記憶していた。しかし、PM会社の内部調査の結果、窓先空地に関して疑わしい面が出てきたらしい。この為、資産管理担当は竣工図面等を確認した所、竣工図面自体が統一した仕様で作成されていなく、実施設計時の図面が混じっているので、指摘事項に関して竣工図面では確認できないと嘆いていた。この様な話を聞くたびに復かの思いが強い。今の社会は人の流動性が高くなったので、様々な職場に色々な経験を有した人達が集まっている。勿論、大手メーカーなどの物造りの現場では経験の継承が重要視されるので、転職して入社しても企業風土に合った考え方を今でも叩きこまれると推測される。同じ物造りでも不動産業界はメーカーとは似て非なるものなので、経験の継承の必要性が希薄である。尤も、メーカーも最近のデーター改竄などの報道を見ると、グローバル市場での競争激化でコスと納期などの厳しさで品質管理の面でモラルの欠如が増えてきた。一方、不動産業界は一攫千金の強者どもが参入する業界であるのでもともと玉石混交は否めないが、以前の社会ならば本物でなくては市場から退場させられた。しかし、今の社会は利益優先で猪突猛進しなければ生き残れないので足下しか見ないのが一般的になった。建築基準法の改正で建築確認申請の図面添付が緩和されたのと、確認認可が下りた後に図面を何度も変更してコストを下げる方法が一般的になった弊害が多くの建物で生じている。上記の指摘も違法を前提にしたのではなく、コスト削減で図面を変更している過程で施工現場に配布された最終図面が間違っていた可能性が高い。過去のブログでも同様な間違いが起きた建物に言及したが、2000年以降には同様な建物が日本全国に多く存在すると推定される。今回の様な事が起きるのは図面の変更だが、途中で間違いのチェック機能が働かなくなったのは竣工図面作成代を発注者がケチって請負業者負担にしたこともある。竣工図面を描かずに施工する現場にミスが起きるのは当然だ。最近TVなどで日本の物造りの素晴らしさを盛んに報道するが、自慢できるのは過去のケースだ。現在進行形や未来に関してはお寒い状況なのが現実だ。クールジャパンなど謳った経済産業省の進めたプロジェクトは全部失敗に帰したらしい。経産省のOBが今の連中は机上の空論で遣っているので失敗するのは当然だと厳しく指摘した。日本全体が何時の間にか机上の空論で物事を進める社会になり、間違いにも反省がない点に憂慮する。

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私がゴルフビジネスに本格的取り組んだのはバブル経済崩壊後であった。㈱東拓企画一級建築士事務所の二代目社長として活動していた時に先代社長が関わったゴルフ場時代の人脈の縁であった。設計事務所としてはゴルフ場のクラブハウスの設計に関わったが、レジャー屋さんが開発する仕事の設計料は現金半分で残りは会員権で支払われた。ゴルフ場の用地買収が上手く運び完成すれば、会員権の価値が上がり儲けが増えたが、多くは用地買収でとん挫し、会員権は紙切れになった。一方、ゴルフ場の用地買収のビジネスは成功報酬であり、不動産の地上げだったので此方の方はマイナスにはならなかった。先代社長にとってはゴルフビジネスはリスクの多いものと理解していたらしく、積極的には拘わらなかった。ブログで急にゴルフビジネスに言及したのは、先代社長からアドバイスを頂いた会員権業者の宝ゴルフサービスの糟井会長が逝去されたことをご子息から告げられたからだ。私のゴルフビジネスは不良債権化したゴルフ場のデューデリジェンスであったが、スタッフには元ゴルフ場の支配人であった方もいたので、ゴルフ場のオペレーションも出来た。更に、名門コースのグリーンキーパーン経験者の方にも協力を得ていたので、コース管理も低価格で引き受けることが出来た。1997年にゴルフ場のデューデリジェンスのチームを結成し、当初は外資系から依頼を受けた会計コンサルティング会社の仕事であった。開発に数百億円掛けたゴルフ場がキャッシュフローで評価を算出すると数億円と言う金額になるのは悲惨であった。日本のゴルフ場は会員権ビジネスで成り立つシステムであったのが嫌になるほど痛感した。バブル経済崩壊後は多くの金融機関が多くのゴルフ場に融資し大部分が不良債権化していた。ゴルフ場はビルやマンションと違いオペレーションによっては追加の資金が必要であり、更に多額の預り金を有していたので経営支援の対象に成り得なかった。この為、不良債権処理の不動産のバルクセールでただ同然で外資系投資会社に多くのゴルフ場に対する債権が移った。外資系投資会社もゴルフ場に関しては債権処理に関して良い方法が出なかったが、その後に民事再生法の成立で多額の預託金を消滅することが認められたので、ゴルフ場の再生に向けて動き出した。この動きに相俟ってゴルフ場のデェーデリジェンスの仕事も急増し、現地調査を行わない机上の調査を含めると北海道から九州まで数十か所のゴルフ場のエンジニアリングレポートなどを作成した。キャッシュフローで不動産ンの価値を評価する手法がゴルフ場にも採用され、会員権の価値を等閑にしたことが今日のゴルフ場経営に悪影響を及ぼしている。勿論、バブル経済時代以降にゴルフ場を運営している人達がゴルフ場を箱庭の様なメンテナンスを常識化したことと立派過ぎるクラブハウスも経費面で問題が起きていた。何れにしても、人も物も一度贅沢をすると容易に戻れないと言う現実はゴルフ場経営には厳しかった。旅館ビジネスと同じで団体や企業接待の利用から個人利用に変わったのに切り替えが難しい業界でもあった。それにしても、ゴルフ場と会員権が表裏一体であることに気が付いていれば現在のゴルフ場ビジネスは資産価値を失わなかったと思われてならない。糟井会長の逝去に改めて考えた次第。合掌

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日本人の考え方は単一民族の同族意識からか多様性のある宗教的な許容性から来るのか知らないが、重要な意思決定に際して余り専門家を利用しない。勿論、専門家と言っても「法律関係」、「税務会計関係」、「建築土木関係」、「情報関係」など国家資格を有する者と、国家資格ではなく「民間の任意資格」を有する者、更には「知識経験」を有する者などに分かれるが、企業レベルでは専門家の意見を聞くのは必須なのに、個人レベルになると意思決定に専門家を使わないケースが多い様だ。最近の不動産投資における不祥事には貸し手の金融機関が絡んでいるので金融機関のチェックで十分と思っているかもしれないが、大きな勘違いである。私の経験では貸す事に注力している金融マンは担保物件の評価が甘くなる傾向が強い。日本が米国との情報技術で負けたのはソフトの価値を評価できなかった為だ。弊社の業務の建築設計でも作品に対する価値は低く、設計料なども安く抑えられる。良い建物を造るには設計デザインや設備設計などソフトであり、工事に伴うハードは結果だ。喩としては良くなかったかもしれないが、専門家の意見は良い不動産を取得する為に必要なソフトと考えれば分かりやすい。専門家の意見を聞くことで、安く購入出来たり、将来のリスクを軽減できれば安い買い物になる。日本人は和歌や俳句など風雅に言葉遊びをする国民なのに見えるものに価値を偏重するのは解せない面がある。特に、台風、地震、火山と言った災害の多いエリアなので、本来は物に執着しない民族だったと推定される。多くの古書には儚さを書いた文言が多い。しかし、近年、物に執着する人が多くなったのは、明治維新以降の近代化と戦後の豊かな米国を目指した国家造りに影響かもしれないが、それならば逆に専門家の意見を重視する米国の様にならないのは何故かと考えてしまう。若い世代は専門家、特に弁護士を使う傾向にあるが、建築士などに対しては、設計業務には利用するが、収益不動産に関しては、会計士などの利用に止まり、建物自体にまでは考えが及ばない。何れにしても、専門家を使う事でリスクの軽減や価値を再評価できる可能性が高いので、被害者に成る前に専門家に声を掛けることをお勧めする。

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東京都文京区に建築中であったファミリーマンションに関して避難階段の設置問題で東京都建築審査会では違法と判断して確認認可を取り消したことに対しての東京地裁の裁判で「不服請求棄却」の判決が出た。建築基準法は柔軟性があると言うか解釈余地がある法律なので過去には行政庁の建築主事に依って解釈が異なるケースもあり、提出先が違えば許可されないケースもあった。この為、設計事務所や建設会社やデベロッパーは行政庁に事前に相談して設計企画を進めたものであった。規制緩和で建築確認申請などが民間の会社で行えるようになり、従来の行政庁に申請するより建築基準法に関して柔軟性がある民間会社に申請が多くなったのは仕方がないのだが、民間会社となれば経営と言う観点から審査も判断することになり、違法性に関してグレーな建物も増えてきた。今回の取り壊し命令を出されたマンションも民間会社に建築確認申請を提出して審査を通過したものであり、確かに駐車場の出入通路を避難通路と設計したのは、1Fに到る急勾配を考えると審査が甘いと言えば甘かったのかもしれない。デベロッパーなどは購入土地価格の高かった分を建築で補填しようとする傾向があり、問題建築が出現する。勿論、建築確認審査が行政庁の専管業務の時代には、グレーな設計企画で建物を造ることは難しかったので、土地自体に作為した方法が多かった。例としては、マンションなどの駐車場の土地を建物完成後に転売して検査済み証を得てから違法建築になるケース、建築敷地の敷地の一部を借地し、建物完成後に借地部分を所有者に返すケースであった。悪質なケースもあり、建築確認申請提出の図面と違う図面で平気で建築してしまう建築主の存在だ。流石に設計士は違法となるので、施工監理は受けないで建築工事に関しては知らないとの立場を取った。これが通用した社会的な背景として経済的損失を理由に完成目前の建物に関しては、取り壊し命令を出さない慣習だった。今回のマンションに関して改善などで妥協することなく取り壊し命令となったのには、近年の災害の発生の頻度もあり、住む人の安全を無視した設計に鉄槌が降ろされたと思われる。何時大災害が起きるかもしれない日本列島にあって建築基準法法上の避難階段や消防法関係の設備に関しては従前より厳しい対応となることが予想される。心すべきことと思われる。