未分類

インバウンドか何だか分からないが、日本は制度的には宿泊施設に対しての許可は民泊以前は「ホテル営業」、「旅館営業」、「簡易宿泊所及び下宿営業」の3分類で認可を取った。しかし、現実的には、民泊と競合する宿泊施設として①ユースホステル、②ゲストハウス、③簡易宿泊所、④下宿屋、⑤ウィクリーマンション・マンスリーマンション、⑥民宿、⑦宿坊に種類分け出来る程多様性で溢れている。

昨今、人種的な垣根を超えることをダイバーシティなどと表現されてるが、日本社会はある意味形式主義の国なので、形式を整えていればある意味黙認される傾向が強い。日本人は創造性が欠如しているとかガラパゴスとか指摘されているが、日本人ほど創造性が豊かで柔軟性がある国民は世界的に見ても少ないのではないかと私は思っている。先入観なしで考えれば、日本は地震、台風、雷、火山などの災害が頻発し、然も四季が明確なので、頭が固くては生き延びて行けなかった地域と思われる。上記の宿泊施設は一部が旅館業法で規制された宿泊施設ではないが、競合施設なのは変わりがない。これに次は民泊が加わるのだから一層競争が激しくなる。競争と言えば、この言葉も日本に関しては欧米と比較して競争に晒されていないので考えが甘いと言う指摘も言い古されているが、何の世迷言かと言いたい。

更に、昨今は効率と言う言葉が我意を得たりとばかり跳梁跋扈している。勿論、効率が重要な業界においては必要と思われるので良いが、サービス産業までに効率と言う言葉が入ってくると、"おもてなし"と言う日本的なサービスとの間で整合性が取れるのか疑問が湧いてくる。尤も、民泊レベルの宿泊施設では"おもてなし"など不要と言われてしまいそうだが。効率とは意味が異なるが、日本文化とは本来無駄を究極までも削ぎ落としたものであるので、その意味から言えば効率を超えた世界観を構築しているものと考える。先の競争と言う意味では、日本人は上下大小の区別なく、良いと思ったことにベクトルが一斉に向くので、常に過当競争に晒されてきた。競争などないと言うのは全くの嘘八百だ。過当競争があるからこそ世界に通用する技術が出来るのであり、消費者の目も肥えているから本物でないと継続できない。

欧米諸国は日本は規制で進出できないと言うが、規制で進出できないのは何も海外企業だけではない事を理解していない。国内企業も然りだ。だが、上記の宿泊施設の様に色々な知恵を使って上手くグレーゾーンを探して対応するのである。尤も、この考え方は日本人特有のものと最近まで思っていたら、中国でビジネスを行っている方と話をしたときに、中国人は上に規制があると下は解決策を講じる国民と聞き、極東アジア文化なのかとも考え直した。

何れにしても、宿泊施設が絶対的に足りないので旅館業を規制緩和して民泊制度を作って対応すると言う触れ込みには疑問を呈してしまう。上記の宿坊などは民泊制度によって今後は大きく施設を拡大する計画があると言われ、思わぬ伏兵が民泊制度にはある。「敵は本能寺にあり」かも知れず、もし民泊を始めるならば日本には既に十分ある宿泊施設があることを念頭に入れて置くべきと心得えて付加価値を取り入れた事業にすることをお勧めしたい。

未分類

タイトルをご覧になった方は食の関係と思われるかもしれないが、今回は人のことです。先日、株式会社ジャパン・アセット・アドバイザーズが発行するJAA通信と言う定期刊行物に記載されていた南一弘代表の「賞味期限をよく考えて自分作造りに励みます」と言う一文を目にした後に、元KPMG出身でその後トーマツでコンサルタントに従事し、現在リタイア生活を楽しんでいる方とご一緒する機会があり、再就職を話題にした時に人の賞味期限を感じさせる言葉を聞いたことが印象的だったのでブログに書くことにした。

人の賞味期限について最初に聞いたのは、私が世話になった方が事業で挫折し、再起を期す為に頑張っている時に、「賞味期限がある内に何とかしたい」と話された時である。私はその時には深く意識しなかったが、今回は偶然にもいくつもが重なり合って意識せざるを得なかった。同じ時期にリタイアしている友人から有効求人倍率の労働者は15-64歳の働く意欲がある者なので、私は完全に対象外だとメールが来たことにも感傷的になった面もある。しかし、働く意欲だけでは越えられない問題があるのは確かだ。少子高齢化社会なので、現在は65歳まで働かないと年金が貰えないが、今後は70歳に引き上げようとする動きがある。財政だけを見て人を全く見ていない動きには腹が立つし、若い時に一生懸命仕事をした人は年齢を経て働くと言う言葉の重さが身に染みるのである。

先のトーマツの方はCPAの資格を有する優秀な方であり、常に体を鍛えて心身の鍛錬に励んでいる姿を見て来ているので、現在の変化に対する知識の更新に追いついて行けない不安を抱き、もし間違ったらクライアントに迷惑を掛けるので再就職を敢えて行わないと言う話には我が身を振り返った。豊富な経験を拠り所にし、知識の更新も行っていると自負していたが、確かに経験の記憶も勘違いしている事があるかもしれないし、知識の更新も必要な全部を網羅していない可能性も否定できず、クライアントに迷惑を掛けていないだろうかと不安になった。

政府が主導する働き改革では高齢者も含まれているかどうかは勉強不足で不明だが、高齢者が働くのは当然と主張する連中は高齢者の不安など眼中にない様に思われ、知識の更新に不安があるなら肉体労働者にでもなれということなのかと考えてしまう。南氏も人の賞味期限は他者から無視されなければ未だ大丈夫と書いているが、それには自分造りに励むという条件付きなのは確かであろう。AIの発達で専門職が急激に奪われて行く中で、それぞれが自分造りに励むのは容易ではない。今の社会は多額の報酬を得られる時代になったが、賞味期限を過ぎた所か消費期限を過ぎても地位に拘っている人達も多く、企業の破たんを招く現象も起きてきている。経験が浅くても高額の報酬を手にすることが出来、経験があるものの知識の更新に不安を覚える良心的な人がリタイアしてしまう社会になったのは何故かと自問自答をする。

尤も、個人情報保護法も改正され、民法も改正され、消費契約法も改正され、建築基準法も改正されたり過去20年の間に多くの法律が現代社会に対応するために改正されてきている。今後も急速に変わる時代に合わせるために法律を変えざる得ないと思うが、法律の中には進歩によって改正するのではなく、逆に社会の劣化と思われる法の退行改正もある。規制の緩和と言いながら一方で規制強化も日常茶飯事だ。幾ら優秀な人でも場当たり的に法律や欧米主導の国際基準に従った制度の改正が行われたりでは知識の更新などに努力した所で賞味期限が到来するのは目に見えていると考えるざるを得ない。しかし、幾らITの時代でも更新作業は必要なのだが、更新で不具合が起きるのも確かなので、クライアントに迷惑を掛けないことを最初に心掛けていれば未だ大丈夫と思う事にした。

未分類

東京都杉並区内の容積率違反となった底地の一部売却事件に関しては①と②で終わりにしたくない部分があったから後記として記述する。

底地を取得した不動産会社が杉並区役所の底地の売買に関して二度に亘り勧告を出したにも拘わらずに無視して関連会社の1700㎡の内420㎡を敷地を住宅販売業者に転売し、その販売業者が再度指定確認検査機関に建築確認を提出したのだが、指定確認検査機関は住宅設計に関しては問題がないので建築確認を交付したと言う記事の部分だ。

1971年に建築された3000㎡の敷地の一部420㎡に戸建て住宅が建築されて既存マンションが容積不足になったと言うからには、既存マンションが3000㎡の敷地でマンション建築の確認認可を得た時には余剰容積率はなかったという事だ。既に容積率を使ってしまった420㎡の土地に対して戸建て住宅建築の設計に問題はなかったとは摩訶不思議な事だ。もし、土地の分筆を行えば容積率に関する問題が白紙になるのが法的に可能ならば、大きな法的な不備と言える。容積率を売買できることは法的には可能だ。しかし、容積を売買して使用しない容積分を移転した場合には、売った土地の所有者は売ったよう積分を差し引いた残りの分しか使えないのは当然だ。それが逆のケースでは認められると言うのは可笑しい事だ。

指定確認検査機関が既に容積率を全部使って仕舞って余剰容積率のない土地に対して設計上問題ないから建築確認を交付したとは驚きだ。勿論、既存マンションの敷地に過去に利用されたのは分からないために建築確認を交付してしまうケースはあるのかもしれないが、建築確認の交付は単なる建物に関してだけでなく、周辺との観点からも審査するのは当然ではないか。この様な愚かな社会を作り上げたのは誰なのかと言いたい。裁判官も専門知識など知らないだろうが、法律だけしか判断しない判決など愚かのひと言だ。裁判官の劣化と出世だけしか頭にならない判事などに判決など認めたくはない。経済成長と言う幻想の為に必要な規制まで緩和して不正義な者が徳をする社会など存続する必要がないと思うのは私一人か。

未分類

当該マンションは1971年竣工なので当時購入して現在でも居住している方はリタイア組であり、中古物件として購入した方は取得時期によっては未だ償却が終わっていない可能性もあります。底地部分の所有者の経済的破綻に対する対応は当然に管理組合を通して全組合員に知らされていると推定され、総会で対応を議論してきたと思われる。この辺りは全て推定だが、当たらずとも遠からずと思われるので推定をを続けるとして、底地権の購入金額は1戸当たり400万円前後、総額約2億5千万円と考えられる。総会で結論が出なかったので競売になった訳だが、マンションの底地など誰も見向きもしないと言う楽観論が支配したためかと思われる。底地の深刻な問題は全員が賛成でないと結論が出せないと言う厄介なことだ。その為に折角のチャンスを逃したと思われるが、残念なのは当該マンションは現行の許容容積率が少なかったことだろう。若し許容容積率が大きかったらデベロッパーに持ち込んで底地を買い上げて貰って再開発に持ち込めた可能性もあった。

何れにしても組合員の予想を裏切って底地を競売で落札した不動産会社があり、その不動産会社は当該マンションの容積率違反になるのを承知の上で戸建て住宅としての1700㎡の内420㎡の土地売却を企てたことだ。停止条件付で売買契約を締結した戸建て住宅販売業者は建築確認申請を指定確認検査機関に提出したことから特定行政庁の杉並区役所が容積率違反になることを発見し、区役所では競売取得した不動産会社と当該マンション管理組合とで土地の売買で解決を図るように書面で通知し、指定確認検査機関には建築確認を保留するように行政指導したとのことであった。杉並区役所としては適正に行政としての役割を果たしたと言えよう。問題はこの先で起きた。競売で購入した不動産業者は二度の行政指導に従わずに対象土地の内420㎡をを関連会社に転売し、戸建て販売業者はこの関連会社から420㎡の土地を購入して再度建築確認申請を提出した。計画した住宅の設計自体が適法だったので、指定確認検査期間は建築確認を交付し、結局問題の戸建て住居が全棟完成した。

この為、管理組合では関係不動産3社に対して「住宅によって眺望や日照を侵害された」などとして完成した6棟の住宅の撤去や慰謝料の請求の支払いなどを求めて提訴した訳だ。結果的には、慰謝料33万円の支払いを不動産業者に命じたものの、戸建て住宅の撤去は認められなかった。訴状の内容は知らないが、戸建て住居の撤去以外に慰謝料などを求めたのは最初から住宅の撤去は難しいとの判断が管理組合側の弁護士にあったと推定できる。WEB雑誌では1984年の改正区分所有法の成立以前は建物と土地を切り離して売却できたので、1983年以前の建物には今回と同様のトラブルの懸念があると指摘していた。しかし、今回の事件は指定確認検査機関が生まれていなければ戸建て住居の建築確認の交付はあり得ない事を考えると、1983年以前と言うより、規制緩和が生み出した法の網を抜けた悪質な不動産業者に利益をもたらす仕掛けとと言える。正直者で納税を怠らないものが不利益を生じる社会とは何だと言いたい。裁判官も法律論でしか物を見ない社会経験も少ない者が一連の流れの悪質さも判断出来ないで判決を下す社会には愚かさ以上に絶望的になる。

未分類

偶然に目にしたWEB雑誌の記事に目を惹かれた。

タイトルは"敷地に戸建て、マンション容積率違反に"でした。東京都内の杉並区の分譲マンションの敷地内に戸建て住宅が建築され、マンションが容積率違反の違法状態になっているとの記事に最初はあり得ない話と思い、記事が間違っているんではないかと疑った。しかし、読み進んで行くに伴い、この様な事が他の事でも起きていたらと気になりだした。小泉内閣時代の建築基準法の改正により、建築確認申請の審査が民間会社でも可能となり、指定確認検査機関が出現した。行政庁でも建築物の巨大化で対応してきれなくなったのに採算性が求められる民間の検査機関に出来るのかと言うのが私の率直な感想であった。民間検査会社の出現はその後に構造偽装事件と業務発注の変化の二つの面で現れ、今後が懸念される代物であった。不祥事が起きると行政は待ってましたとばかり今度は別な方法で規制強化を行うが、先の構造偽装事件後の規制強化と業務発注の変化は弊社の様な設計事務所に関しては色々な面でマイナス効果が大きく働いている。

然し、今回のマンションの容積率違反は規制緩和以前ならば起こり得ない事件だから余計に愚かな社会を作り出したことに腹が立った。私も知らなかったが、指定確認検査機関は業者から申請書が提出されると概要書を特定行政庁に送付する仕組みになっていることだ。今回はその送付で杉並区役所がマンション敷地内に建築される戸建て住宅でマンションの容積率違反になる懸念に気が付いた。同マンションは1971年と古く現行許容容積率/建蔽率は150%/60%だそうだ。約3000㎡の敷地として建築確認を取得し、鉄骨鉄筋コンクリート造地上11階建のマンションが建築されている。問題は敷地3000㎡の内、1700㎡が借地であり、その借地部分が競売に出されて所有権が不動産会社に移転したことだ。競売の経緯等は書かれていないので、今回の事件とは別に幾つかの疑問点はある。それに言及しないで今回の件だけを取り上げても意味をなさないと思うので、先ずはその点から述べるとする。一般的には底地である土地の所有者が経済的に破たんした場合には推測の域をでないが、債権者は借地権者に底地の購入を勧める筈だ。なお、当該マンションは敷地の約57%が借地であり、所有権と借地権がマンションの敷地権としてどの様に対応していたのかが不明だが、一部のマンションには所有権の敷地が付いており、一部のマンションには借地権の敷地である様な分け方はしないので、考え方としては共有持分(所有権)と準共有持ち分(借地権)の両方の持分で全戸成り立っていたと推定するしかない。

<以下次に続く>

未分類

昨今は資産運用のパンフレットで資産購入を勧誘する会社が多いが、その中でビルのフロア購入を勧めるものがあった。1棟の建物を購入するよりいわゆる区分建物の方が資産価値が高いことを謳ったものであった。区分所有建物とは分かりやすく言えばマンションなどの住戸が代表的なものだが、ビルのフロア購入を勧める案件はオフィスとしての活用を目的としている。簡単に言えば、賃借でオフィスを利用している会社や個人に区分所有建物のオフィスを購入すると賃料分を購入に要する借入金の返済に充当させて資産を得られますよ、という事だ。共同所有のマンションの為の法律として区分所有法が成立したのだが、法律制定当初から長い間は専らマンション法と呼ばれる位に住戸を目的としていた。その後、共同建物は住居として住まいに使用する以外にビジネスマンションなるものが考案されて仕様は居住用だが、オフィスとして使う物件も出現した。今から40年以上前なので未だオフィスビルは少なく、個人事業者が賃借するには保証金も高かったので、少人数のオフィスとしてビジネスマンションは好評だった。

更に、ビジネスマンションにヒントを得たと思われるのが弁護士ビルなるものの出現だった。弁護士ビルはビジネスマンションよりは通常のオフィスビルに近く、弁護士と言う職業からオフィスを借り難いと言う問題と弁護士と言う個人事業主にはサラリーマンの様に退職金がないので、引退時に弟子に事務所を購入してもらう事で退職金代わりにもなるので多くのメリットがあった。なお、共同開発での副産物である店舗の区分所有建物は早くから存在したが、問題は流動性に難点があり、店舗用途に関しては飽く迄も意図的ではなく開発から生まれたものであった。尤も、超高層ビルの建築では、複数の企業が共同参加したことから数フロア単位での区分所有建物が存在しているが、一般的にはマンションと同じとは理解されていなかった様だ。

過去の区分建物のオフィスには流動性に問題があったことを述べたが、その最大の理由は当時の金融機関が担保価値として区分建物オフィスを見てくれなかったことだ。担保主義の時代であったので担保と評価してくれないので、区分建物のオフィスの需要があっても流動性に欠陥があったことになる。その後、徐々に区分建物オフィスにも担保価値を求める金融機関も現れてきたが、実際の不動産取引においては評価の80%が一般的であった。

弊社は都内に共同事業でマンション建築を行っていたが、共同事業なので1階は店舗を配置し、所謂下駄ばきマンションであった。共同事業で早期の資金回収にはマンションを分譲することであり、弊社はマンション専業大手に取得分を卸すことによって販売リスクを避けた。今の若い世代には理解できないと思われるが、当時は高金利なので販売戸数の10%が売れ残ると利益がなくなるとまで言われた時代だ。エンドユーザーに販売できれば利益が多いのが分かっていても弊社規模では出来ないのが実情だった。

区分建物のオフィスが金融機関に認知され、利用者や投資家にも一般的になったのは何時頃かと言うと、1985年以降のバブル経済になってからだと思われる。都心にビル需要が増加し、多くの場所で地上げと称される再開発が進められたことから地価が急上昇し、都心で1棟ビルを所有するのが価格的に大変になったことが背景にある。弊社でも都心の共同再開発で大型ビルを建築することになるのだが、開発当初は未だバブル経済にはなっていなく、ビルの仕様が従前と大きく変わることが予想されたので、弊社は付加価値が生まれる今では死語かもしれない「インテリジェントビル」の希少価値で勝負に出た。紆余曲折を経て1987年に完成した時にはバブル経済絶頂期であり、大型ビルの区分建物のフロアも担保価値としては1棟ビルのフロアと変わらない金融機関の評価であった。

長々と区分建物に関して推移を述べてきたが、今後予想される都心のビルの供給過剰にあって区分建物のオフィスの資産価値がどの様に推移するのか興味を持っていた時に、冒頭の様な区分建物のオフィスを積極的に資産価値が高い案件として推奨する不動産業者が居たので驚いたのは確かだ。区分建物の資産価値とは何かとひと言で述べると区分所有者の団体である管理組合が機能してるかどうかだ。そのことを触れずに売買の仲介や販売して終わりでは無責任になる。何れにしても、区部建物のオフィス販売では先駆者といえる弊社が積極的に出来なかったのを専業として大きく伸びている会社が出てきたことを思うと隔世の感がある。弊社は今でも区分所有建物では多くの知見を有しているので、今後は区分建物のオフィス販売にも乗り出そうかと考えている。

未分類

築36年で管理規約を制定する難しさは、マンションデベロッパーが購入者の同意を得ないで公正証書規約で制定している事実からも分かります。購入前の設定ではなく、竣工後の大分年数が経過したマンションで管理規約を制定するには区分所有法の特別決議によって行います。勿論、近年の規制緩和の影響で、過去には規約制定には全員の同意が必要でしたが、現在は全体の4分の3の決議で制定できるととは言え、通常の総会の過半数の出席で、且つ多数で決められる議案と比較すればハードルは相変わらず高いのは確かです。

管理規約の大前提は公平さと建物の管理保全に必要な規制ですので、基本的なたたき台は国土交通省が公開している標準管理規約のモデルを参考にし、その上で当該マンションに係る条文を加筆・変更することになります。当該マンションは築年数から既存不適格なのは当然ですが、問題は違法性のある物件だったことでした。しかし、当初案ではこの問題を無視して作成する訳には行きませんので、弊社段階では違法性の問題を念頭に作成しました。

管理規約の内容に関しては、管理組合の役員と居住者の方に先ず説明し、後は区分所有者の人達が条文の是非を議論して決めていただくことにしました。弊社が最初に説明した以外に議論の中に入らなかったのは、自分達で管理規約を作成する意識を持ってもらう必要があったからです。管理規約の制定で最も重要なことは与えれたものではなく、自分達が作ったと言う誇りです。なお、居住者外の方々は容易に参加する機会がないと考えて1ヶ月以上前に管理規約案を郵送し、必要に応じて弊社が内容を説明し、意見を伺う事にしました。

今回の管理規約制定作業で痛感したのは、当該マンションの自治会時代から各所有者の信頼を得て運営をしてきたことでした。この為、外部の所有者で作成の議論の場に参加できなかった方から修正等の意見が出ませんでした。臨時総会の議決権の確保で出欠の確認を連絡した時には、出席できない方から全員の委任状も取り付けることが出来ましたので、理事長さんも驚いていました。理事長さんと役員の方は仕事が忙しい上、腹の立つ個人的な意見も聞きながら皆を賛成する方向に纏めていただいと思います。若い理事長さんでしたが、会計担当の理事さんと共同で粘り強く規約作成に向けて動いてくれたことが成功に到ったと思われます。

臨時総会当日、理事長が議長に就いて議決に必要な出席者の確認を行い、適法に成立したことを宣言して議事に入りました。議事においては、事前に意見を纏めていたこともあり、大きな波乱もなく、順調に推移しましたが、最後に会計担当理事と自治会時代の会長さんと新管理費と修繕積立金の未納の方との精算を巡り緊張した場面がありましたが、管理規約制定後の管理組合運営に過去のわだかまりを解消するには良かったと思われました。なお、全員賛成で管理規約は議決承認されました。理事長さんは呉越同舟の管理組合と理解しており、管理規約制定後も色々と問題が生じる懸念を持っておりますが、管理規約制定により当該マンションは管理運営の憲法を持つことになり、36年目にして漸くスタートを切ることが出来ました。

未分類

管理組合の初代理事長として就任した方は頭の回転が速く、管理組合業務代行会社としては業務をサポートする上で安心感がありました。しかし、一から始める管理組合体制の確立でしたので、想像以上に理事長さんには負担が掛ったと思われます。最大の問題は発足時点では自治会の運営スタイルを踏襲せざるを得ないことであり、管理規約がない為に区分所有法だけでは理事長の業務上の権限に関して制約があり過ぎた為でありました。その様な状況にありましたが、組合発足後には直実に管理組合規約の制定に向けての準備作業は進められました。先ずは、通常総会で管理組合の業務委託及び決算と年度の事業予算の計上などの議案書を作成し、管理組合運営の日常業務を推進できる体制を構築しました。事業予算の中に「長期修繕計画作成費用」と「管理規約制定の費用」が盛り込まれましたので、弊社は建物の調査に着手しました。

建物調査では竣工後に導入された法律による既存不適格に関してはそれほど問題視しませんでしたが、調査の過程で許容容積率オーバーであることに関しては原因を究明する必要に迫られました。弊社は不動産ファンドが購入する建物のデューデリジェンス(DD)を行ってきましたので、過去の建築物には違法性が多いのは認識していました。当該マンションも分譲業者が計画的に1階部分を駐車場として建築申請し、竣工後に店舗に用途変更したものと推察されました。しかし、実証できる建築確認申請図面はなく、自治会で保有していた平面図のコピーでは既に1F部分は店舗になっており、登記も店舗で登記されていましたので、調査としては現状確認に止め、現行平面図で各部屋の壁芯床面積を算出しました。

管理組合から当該マンションの保全の為に適正な管理費と修繕積立金を徴収する必要があり、その為に弊社に対し長期修繕計画書の作成作業を進める様に指示がありました。当該マンションは自治会運営としては管理組合が設立されているのではないかと思うほど計画的に修繕が行われてきておりましたので、長期修繕計画書の作成に際しては、その結果を踏まえれば良く、作成に当たっては緊急的に行う工事がないので、現行の留保している金額で当面は修繕出来ることが分かりました。長期修繕計画書作成後にその必要な支出に見合った管理費と修繕積立金の算出を進め、何通りかの案を管理組合に提出しました。

初代の理事長は一部の反対にもかかわらず粘り強く区分所有者の意見を纏めて管理費と修繕積立金の金額と徴収開始日を決定して後任の理事長にバトンを渡しました。理事長としての仕事は何時も決断を迫られるもので、2代目の理事長も就任早々に屋上の防水亀裂による漏水が最上階の部屋の内装工事で発見されて緊急対応が求められました。管理規約がない状態で緊急性がある工事でしたので総会に諮っている時間的な余裕がなく、工事金額も含めて大きな決断でした。この為に、理事長は管理規約制定に注力することになり、弊社に早急に管理規約のたたき台を提出することを求められました。

屋上防水工事の緊急対応が今回の管理規約制定促進の起爆剤となったものと思われ、理事長就任早々の出来事の上に初めて管理組合の役員になったこともあり、大きなプレッシャーであったと思われます。理事長として業務を遂行する上で管理規約の必要性を痛感したのは結果的にプラスになりました。

<以下続く>

未分類

管理組合業務代行の3年掛りで取り組んできた築36年のマンションの管理規約制定の臨時総会が無事に終え、漸く名実ともに管理組合が発足する運びとなり、良かったとの思いを強くしています。

当該マンションの管理組合業務代行について4年以上前に一人の組合員から相談を受けました。現在は自治会として有志の方が管理に携わっているが、実際には管理組合を設立して管理した方が良いと思うので、自治会の役員に管理組合の業務代行について説明してほしいとの事でした。その後、面談日時が決まり、当日には建物を視察しましたが、20世帯以下の小規模マンション乍ら建物の管理は良くなされている印象を受けました。今回の説明に際しては、長く自治会の会長として務めてきた方が他の方に会長を任せるに際して役員の業務を軽減することを念頭に置いての面談でした。

管理組合の設立には管理規約が必要であり、建物の保全管理には管理費と修繕積立金を徴収することになるが、自治会の会費ではなく、正式に管理費と修繕積立金の徴収の金額を決めるには長期修繕計画の作成も必要な事を説明しました。古いマンションは殆ど同様ですが、竣工図面等を建設会社に預けたままになっていたり、分譲会社が竣工後の管理を行っているケースが多いので管理組合事務所を持たない小規模マンションに関しては分譲会社や建設会社や設計事務所が倒産すると大事な建物に関わる資料を喪失している場合が多いです。当該マンションも分譲会社が破たんしていたので、存在している資料としては平面図のコピーと販売時の物件概要書程度でした。

弊社は手前味噌になりますが、一級建築士事務所として設立し、その後共同事業のコーデネーターやデベロッパーとして共同事業によるビル・マンションを建築した実績があり、30年以上前から管理組合の運営管理を行ってきたので、管理組合の業務代行に際しては、他社に追随を許さないものがあります。弊社の業務から建物の長期修繕計画の作成や平面図から区分建物の壁芯面積を計算することは容易です。更に、関係会社では建物のメンテンナンス業務を行っているので、適正な管理費の設定が可能と言えます。

然しながら、弊社のノウハウを活用するにしても数名の理事の方は必要であり、20世帯以下の小規模マンションですが、引っ越して現状は賃貸物件として利用している不在地主も多く、如何せん居住している方に管理上の負担が多いのは避けられないと言う現実がありました。それらの実情を踏まえて新しく就任した自治会の会長を区分所有法に基づく理事長として弊社の管理組合業務代行はスタートしました。

<次号に続く>

未分類

電通・女子社員の自殺から急に企業の従業員の労働に対する国側の必要以上の干渉が始まった。過剰労働の問題が何時の間にか消費を増加させるための早帰りに転化してしまった感がある。ここに来て以前から指摘されてきた労働力不足問題も取り上げられ、早々と特区で家事代行に就く女性20人がフィリピンから入国してきた。待ってましたと言わんばかりに宅急便業界の過剰労働とコンビニの人手不足が新聞やTVで取り上げられてきた。確かに、弊社でも清掃業務で募集しても容易に応募者が現れない事は事実なので人手不足は痛感しているが、それは飽く迄も業種によるのである。

人手不足と一言でいうのは簡単だが、最近のマスコミで特に人手不足と伝えられるのは、「宅急便」、「コンビニ」、「飲食店」の御三家と言える。この御三家の過剰労働と電通の女子社員の過剰労働は全く違うのだが、マスコミを通すと全て一緒になってしまう。御三家は正に体を使う労働だが、電通の女子社員は頭脳労働者と思われるので、過剰労働の問題は本人の問題とも言える。勿論、広告会社勤務の知人がいたので拘束された長時間労働の話は聞いて知っているが、知人は好きで入社した業界なので辛いと思ったことはないと言っていた。

過剰労働の御三家の場合は兎にも角にも体を使う事が求められる訳だが、宅急便の人手不足はネット企業による大幅な需要から生じたものであり、当初設計の宅急便事業と大きく変動した事が全ての原因である。コンビニも生き残りを掛けて必要以上の陣地獲りの競争激化に起因するものであり、人手不足を助長させている。飲食店も同様に店舗数の拡大が利益拡大と相関関係にあることと、貸出先に困っている金融機関が飲食店の過剰進出を助長させて矢張り人手不足を助長させている面が大きい。

少子高齢化社会到来なので労働力の不足は確かだが、必要以上のサービスや出店競争で人手不足を生じさせていることにも問題がないかを検証する必要がある。宅急便の問題はネット企業との配送日時の問題なので、本来ならば税金を投入して宅配ボックスを設置する必要があるかどうかを熟慮すべきだ。

尤も、政府としては一石三鳥を狙った政策を進める為に労働問題を必要以上に取り上げていることは間違いないと思われる。しかし、場当たり的な政策ばかりを続けているとオオカミ少年になってしまい、肝心な時に国民はそっぽを向く危険性があることを考えるべきだ。移民政策を進めるならば東南アジアに無料の日本語学校を作り、語学と日本文化を教えて受け入れる体制の構築を行うべきだ。欧米の轍を踏まない為には移民を希望する国々に日本語学校を作って日本文化を教えるのが先だ。本当に日本の政治家は無能だ。