先日、NYで弁護士をしている知人がセミナーの講師として来日したのでランチの機会を設けた。話題は勿論トランプ大統領だったが、米国の景気は予想以上で知人の子息がNYで購入後3倍になったコンドミニアムを売却したのだが、その後更に値上がりして10倍になった話を聞いた。3倍で購入したのは中国人だったそうだが、10倍に上昇したのは驚きだったそうだ。NYでは古い賃貸住居の借主が立ち退かされて新しいコンドミニアムが建設されているそうで、1ベットルームで1億円以上の価格が付いているそうだ。知人の弁護士はバブルとは言ってないが、私の感覚からすれば資産バブルになっていると思われる。景気の衰えを見せない米国経済だが、知人の話ではトランプ大統領は再選もあり得るとのことであった。米国は年々格差が広がっており、その不満をトランプは利用していることは間違いない。トランプ大統領に関してはメディアを通して理解する為か素顔が見えない面があり、今回良い機会だったので、知人に考え方を聞いた所、正に彼の場合は"理解"が"利解"と考えれば良いとの説明を受けた。政治家としての実績もなく、ビジネスマンとして成功したかと言えば、その点からも疑問視されるトランプだが、全てに対し【利】で動いているので、信頼して行動を共にすると梯子を外されるリスクがあると指摘があった。安倍総理もトランプ大統領の関係を過去の中曽根首相とレーガン大統領との関係にダブらせると痛い目にあう可能性もある様だ。中国との貿易摩擦に関しては、短期的には米国の勝ちだが、長期的には中国有利との見方であった。その理由は、ドルと元の通貨の決済方法であり、長期的には元の貿易での通貨としての役割が増して米国は貿易戦争で長期的にはドルでの決済の低下でマイナス面が出て来るとの分析だった。知人は弁護士ですので、セミナーでの講演では米国のイラン制裁に対する日本企業の理解の仕方では技術的な面に言及し、一見すれば制裁対象外に見えても米国企業との取引関係で制裁される危険性を指摘したとのことだった。英国のEU離脱を歓迎し、EUを目の敵にするトランプだから日本が纏めたTPPに対しても不参加以上に腹の中は敵意に満ちていると考えた方が良い。トランプは福音派と言われる酒も飲まない信者だ。【利】以外に思考の中にあるのは宗教だが、女性関係を見るとどの程度なのかは分からない。何れにしても、トランプ大統領に関しては北朝鮮問題に見る通り、交渉中であれば猶予を与える考え方が強いと思われ、如何に交渉にテーブルに着きながら有利な答えを出すかを考えるべきと思われる。
建築基準法の改悪事例
建築基準法の緩和で民間の検査機関が誕生し、その後に構造計算で不正な建築物が発覚し、建築設計に関わる技術者の資格の面で改正が行われた。建築設計には、「意匠」、「構造」、「設備」に係る専門技術者によって業務が分担されている。過去の建築物の様に設備が受電・消防設備・給排水を考えれば良かった時代には、特に「設備専門」担当を置かずに一級建築士の設備担当で行えた時代であった。しかし、建築物に受電・給排水以外に空調設備、消防設備、ビル管理システム、屋内機械式駐車場設備など建築工事費に設備の占める割合が増大した昨今では、設備担当も電気、機械などを専攻した技術者でなければ対応できなくなり、当然に一級建築士の資格者ではない技術者が担当することになった。しかし、資格制度改悪後には、一定規模以上の建築物の設備を担当する技術者は一級建築士の資格が必要になった。この為、業界ではOBとなった一級建築士の設備担当の経歴を利用することでその場を凌いだが、問題はその後に起きてきた。中小設計の設備設計事務所には一級建築士の資格を持つ設備設計担当者が極端に不足しているといった状況だ。大企業しか見ない役人の馬鹿さ加減と建築士業界の行政追従と権利拡大の机上の空論だ。困るのは国民であり、規模の小さな建物しか扱えなくなった設備設計事務所だ。今後は多くの設備設計事務所が廃業を余儀なくされ、大手設計事務所や建設会社に仕事が集中してしまうことになる。中小の建築設計事務所も設備設計事務所がなくなれば、規模の大きな建築物は扱えなくなり、痛手だ。建築設計に意匠と構造は一体化したものだが、設備に関しては耐震性など以外に建築の知識より、電気と機械の専門知識が必要だ。電気と機械の専門知識と同じ様に建築知識を必要となると負担が大きくなり、建築設備に従事する人が少なくなる懸念がある。現実無視の事例を見るにつけ、日本は本当に今後も国際的に競争力を持つ国として歩んで行けるのか不安になる。制度改悪になった構造偽造事件も役人が招いた事で、反省も何もない。困った事だ。
またか!!
外壁診断の相談を受けていたアドバイザリー先の会社の資産管理担当者から用件が終わった後に当該建物に関してPM会社から窓先空地が取れていないと指摘があったことを話して来た。エンジニアリングレポートも作成された物件で、購入時にはレポートにも指摘事項がなかったと記憶していた。しかし、PM会社の内部調査の結果、窓先空地に関して疑わしい面が出てきたらしい。この為、資産管理担当は竣工図面等を確認した所、竣工図面自体が統一した仕様で作成されていなく、実施設計時の図面が混じっているので、指摘事項に関して竣工図面では確認できないと嘆いていた。この様な話を聞くたびに復かの思いが強い。今の社会は人の流動性が高くなったので、様々な職場に色々な経験を有した人達が集まっている。勿論、大手メーカーなどの物造りの現場では経験の継承が重要視されるので、転職して入社しても企業風土に合った考え方を今でも叩きこまれると推測される。同じ物造りでも不動産業界はメーカーとは似て非なるものなので、経験の継承の必要性が希薄である。尤も、メーカーも最近のデーター改竄などの報道を見ると、グローバル市場での競争激化でコスと納期などの厳しさで品質管理の面でモラルの欠如が増えてきた。一方、不動産業界は一攫千金の強者どもが参入する業界であるのでもともと玉石混交は否めないが、以前の社会ならば本物でなくては市場から退場させられた。しかし、今の社会は利益優先で猪突猛進しなければ生き残れないので足下しか見ないのが一般的になった。建築基準法の改正で建築確認申請の図面添付が緩和されたのと、確認認可が下りた後に図面を何度も変更してコストを下げる方法が一般的になった弊害が多くの建物で生じている。上記の指摘も違法を前提にしたのではなく、コスト削減で図面を変更している過程で施工現場に配布された最終図面が間違っていた可能性が高い。過去のブログでも同様な間違いが起きた建物に言及したが、2000年以降には同様な建物が日本全国に多く存在すると推定される。今回の様な事が起きるのは図面の変更だが、途中で間違いのチェック機能が働かなくなったのは竣工図面作成代を発注者がケチって請負業者負担にしたこともある。竣工図面を描かずに施工する現場にミスが起きるのは当然だ。最近TVなどで日本の物造りの素晴らしさを盛んに報道するが、自慢できるのは過去のケースだ。現在進行形や未来に関してはお寒い状況なのが現実だ。クールジャパンなど謳った経済産業省の進めたプロジェクトは全部失敗に帰したらしい。経産省のOBが今の連中は机上の空論で遣っているので失敗するのは当然だと厳しく指摘した。日本全体が何時の間にか机上の空論で物事を進める社会になり、間違いにも反省がない点に憂慮する。
ゴルフビジネス
私がゴルフビジネスに本格的取り組んだのはバブル経済崩壊後であった。㈱東拓企画一級建築士事務所の二代目社長として活動していた時に先代社長が関わったゴルフ場時代の人脈の縁であった。設計事務所としてはゴルフ場のクラブハウスの設計に関わったが、レジャー屋さんが開発する仕事の設計料は現金半分で残りは会員権で支払われた。ゴルフ場の用地買収が上手く運び完成すれば、会員権の価値が上がり儲けが増えたが、多くは用地買収でとん挫し、会員権は紙切れになった。一方、ゴルフ場の用地買収のビジネスは成功報酬であり、不動産の地上げだったので此方の方はマイナスにはならなかった。先代社長にとってはゴルフビジネスはリスクの多いものと理解していたらしく、積極的には拘わらなかった。ブログで急にゴルフビジネスに言及したのは、先代社長からアドバイスを頂いた会員権業者の宝ゴルフサービスの糟井会長が逝去されたことをご子息から告げられたからだ。私のゴルフビジネスは不良債権化したゴルフ場のデューデリジェンスであったが、スタッフには元ゴルフ場の支配人であった方もいたので、ゴルフ場のオペレーションも出来た。更に、名門コースのグリーンキーパーン経験者の方にも協力を得ていたので、コース管理も低価格で引き受けることが出来た。1997年にゴルフ場のデューデリジェンスのチームを結成し、当初は外資系から依頼を受けた会計コンサルティング会社の仕事であった。開発に数百億円掛けたゴルフ場がキャッシュフローで評価を算出すると数億円と言う金額になるのは悲惨であった。日本のゴルフ場は会員権ビジネスで成り立つシステムであったのが嫌になるほど痛感した。バブル経済崩壊後は多くの金融機関が多くのゴルフ場に融資し大部分が不良債権化していた。ゴルフ場はビルやマンションと違いオペレーションによっては追加の資金が必要であり、更に多額の預り金を有していたので経営支援の対象に成り得なかった。この為、不良債権処理の不動産のバルクセールでただ同然で外資系投資会社に多くのゴルフ場に対する債権が移った。外資系投資会社もゴルフ場に関しては債権処理に関して良い方法が出なかったが、その後に民事再生法の成立で多額の預託金を消滅することが認められたので、ゴルフ場の再生に向けて動き出した。この動きに相俟ってゴルフ場のデェーデリジェンスの仕事も急増し、現地調査を行わない机上の調査を含めると北海道から九州まで数十か所のゴルフ場のエンジニアリングレポートなどを作成した。キャッシュフローで不動産ンの価値を評価する手法がゴルフ場にも採用され、会員権の価値を等閑にしたことが今日のゴルフ場経営に悪影響を及ぼしている。勿論、バブル経済時代以降にゴルフ場を運営している人達がゴルフ場を箱庭の様なメンテナンスを常識化したことと立派過ぎるクラブハウスも経費面で問題が起きていた。何れにしても、人も物も一度贅沢をすると容易に戻れないと言う現実はゴルフ場経営には厳しかった。旅館ビジネスと同じで団体や企業接待の利用から個人利用に変わったのに切り替えが難しい業界でもあった。それにしても、ゴルフ場と会員権が表裏一体であることに気が付いていれば現在のゴルフ場ビジネスは資産価値を失わなかったと思われてならない。糟井会長の逝去に改めて考えた次第。合掌
個人レベルの専門家利用の少なさで被害拡大
日本人の考え方は単一民族の同族意識からか多様性のある宗教的な許容性から来るのか知らないが、重要な意思決定に際して余り専門家を利用しない。勿論、専門家と言っても「法律関係」、「税務会計関係」、「建築土木関係」、「情報関係」など国家資格を有する者と、国家資格ではなく「民間の任意資格」を有する者、更には「知識経験」を有する者などに分かれるが、企業レベルでは専門家の意見を聞くのは必須なのに、個人レベルになると意思決定に専門家を使わないケースが多い様だ。最近の不動産投資における不祥事には貸し手の金融機関が絡んでいるので金融機関のチェックで十分と思っているかもしれないが、大きな勘違いである。私の経験では貸す事に注力している金融マンは担保物件の評価が甘くなる傾向が強い。日本が米国との情報技術で負けたのはソフトの価値を評価できなかった為だ。弊社の業務の建築設計でも作品に対する価値は低く、設計料なども安く抑えられる。良い建物を造るには設計デザインや設備設計などソフトであり、工事に伴うハードは結果だ。喩としては良くなかったかもしれないが、専門家の意見は良い不動産を取得する為に必要なソフトと考えれば分かりやすい。専門家の意見を聞くことで、安く購入出来たり、将来のリスクを軽減できれば安い買い物になる。日本人は和歌や俳句など風雅に言葉遊びをする国民なのに見えるものに価値を偏重するのは解せない面がある。特に、台風、地震、火山と言った災害の多いエリアなので、本来は物に執着しない民族だったと推定される。多くの古書には儚さを書いた文言が多い。しかし、近年、物に執着する人が多くなったのは、明治維新以降の近代化と戦後の豊かな米国を目指した国家造りに影響かもしれないが、それならば逆に専門家の意見を重視する米国の様にならないのは何故かと考えてしまう。若い世代は専門家、特に弁護士を使う傾向にあるが、建築士などに対しては、設計業務には利用するが、収益不動産に関しては、会計士などの利用に止まり、建物自体にまでは考えが及ばない。何れにしても、専門家を使う事でリスクの軽減や価値を再評価できる可能性が高いので、被害者に成る前に専門家に声を掛けることをお勧めする。
違法建築となって完成目前のマンション「建築確認」取り消し
東京都文京区に建築中であったファミリーマンションに関して避難階段の設置問題で東京都建築審査会では違法と判断して確認認可を取り消したことに対しての東京地裁の裁判で「不服請求棄却」の判決が出た。建築基準法は柔軟性があると言うか解釈余地がある法律なので過去には行政庁の建築主事に依って解釈が異なるケースもあり、提出先が違えば許可されないケースもあった。この為、設計事務所や建設会社やデベロッパーは行政庁に事前に相談して設計企画を進めたものであった。規制緩和で建築確認申請などが民間の会社で行えるようになり、従来の行政庁に申請するより建築基準法に関して柔軟性がある民間会社に申請が多くなったのは仕方がないのだが、民間会社となれば経営と言う観点から審査も判断することになり、違法性に関してグレーな建物も増えてきた。今回の取り壊し命令を出されたマンションも民間会社に建築確認申請を提出して審査を通過したものであり、確かに駐車場の出入通路を避難通路と設計したのは、1Fに到る急勾配を考えると審査が甘いと言えば甘かったのかもしれない。デベロッパーなどは購入土地価格の高かった分を建築で補填しようとする傾向があり、問題建築が出現する。勿論、建築確認審査が行政庁の専管業務の時代には、グレーな設計企画で建物を造ることは難しかったので、土地自体に作為した方法が多かった。例としては、マンションなどの駐車場の土地を建物完成後に転売して検査済み証を得てから違法建築になるケース、建築敷地の敷地の一部を借地し、建物完成後に借地部分を所有者に返すケースであった。悪質なケースもあり、建築確認申請提出の図面と違う図面で平気で建築してしまう建築主の存在だ。流石に設計士は違法となるので、施工監理は受けないで建築工事に関しては知らないとの立場を取った。これが通用した社会的な背景として経済的損失を理由に完成目前の建物に関しては、取り壊し命令を出さない慣習だった。今回のマンションに関して改善などで妥協することなく取り壊し命令となったのには、近年の災害の発生の頻度もあり、住む人の安全を無視した設計に鉄槌が降ろされたと思われる。何時大災害が起きるかもしれない日本列島にあって建築基準法法上の避難階段や消防法関係の設備に関しては従前より厳しい対応となることが予想される。心すべきことと思われる。
スルガ銀行のシェアハウス「かぼちゃの馬車」問題!!③
かぼちゃの馬車のオーナーの代理人弁護士が審査資料改竄でスルガ銀行を提訴した記事が掲載された。事業会社の破たんで購入者達は購入ローンを支払えなくなったので審査資料改竄をネタにスルガ銀行と減免交渉で行う算段かと思われるが、資金もないのに購入ローン申請を行った強欲な無責任投資家には同情しない。審査資料改竄と言っても内部規制なので、改竄で審査が通ったこと自体の責任は倫理上の問題以外には銀行に責任はないと思われる。そう言えば、バブル経済崩壊後に「金融機関の貸さない親切」の言葉が誌上に踊ったが、結果論の議論なので意味がない。投資にリスクは当然で、低利回り物件の中で高利回り物件を謳っていたら疑ってかかるのは常識だ。女性専用と言うだけで立地も考えないで購入したツケが回ってきただけだ。尤も、安倍内閣が景気対策にインフレをターゲットにした事で、少子高齢化社会にも拘わらずに不動産価値が上昇するとの幻想を抱かせたのは否めないので本当に罪作りな政権だ。スルガ銀行も昨今の投資が5年目安に動いていることを念頭に資金力のない借り手に対して融資したと推定できるが、5年後の転売前に事業運営会社が破たんするとは予想もしなかったと思われる。先に書いた内容で、「かぼちゃの馬車」は相続対策ではなく、投資案件と書いたが、この分析を訂正したい。理由は、「かぼちゃの馬車」のシャエハウスは立地が良くなく、売買価格と相続評価額に対して乖離している商品の様だからだ。以前に高層マンションで指摘した通り、売買金額と相続税評価額が大きく異なる商品は相続税対策にはなるが、真の価値を積算した場合に将来的な修繕費等の面や貸した場合の賃料面で売買金額と比較して低くなる傾向が顕著だ。国税庁の相続税強化が合法的な不動産詐欺に利用されている面がある。その意味では、「かぼちゃの馬車」は相続対策にも有効で、然もサブリースの高利回りの商品なので購入者が多かったのだろう。この様に饒舌に的を絞った書き方が出来ないのが私の特徴なのでご容赦願うが、本来不動産投資は長期的な所有で利益を生むにも拘らず、税制的に長期所有となる5年間の短期売買と相続対策を優先する考え方がリスクを軽視していることは間違いない。金融機関もリスクを取らなければ稼げない時代だが、事業会社の経営者の質やビジネスモデルを見分ける力がないのでは話にならない。情報化の時代なので過去と比べてインチキには騙されない筈だが、新しい時代を迎えたので過去の経験は役に立たないと言った風潮が今回の事件の背景にはあると思われる。詐欺事件も先祖がえりしているのも頷ける。くわばらくわばら。
スルガ銀行のシェアハウス「かぼちゃの馬車」問題!!②
金融機関はメガも地方も設備投資案件が少なく、現在は専ら相続対策案件融資が主流になっている。女性専用シェアハウスは相続対策と言うよりは資産作りの商品として企画されたと推定されるが、問題は事業運営会社の予想を超えた購入希望者が殺到した(?)為に、入居率などを無視して拡大路線に突き進んだことも破たんの一因と思われる。卵が先か鶏が先かの議論になるが、スルガ銀行が女性専用のシェアハウス融資に積極的に取り組んだ結果が業績の急拡大を誘引し、事業運営会社も嬉しい誤算が続いたとも考えられる。尤も、高利回りのサブリース商品ならば購入希望者も多いと推定されるが、なぜ高利回りが実現できるかを分析すれば、事業運営会社の破たんによる被害者に成らなかった筈だ。スルガ銀行の融資には米国のサブプライムローンと同様に購入者の調査資料が改竄されて融資が実行されたとの報道もあるが、この様な状況は資産インフレ時には起きることであり、資産処分を前提にした融資の特徴だ。しかし、現在の日本は立地場所に関係がない一様の不動産の値上がりなど期待することは出来ないので、何の根拠で無謀な融資に走ったのかだ。米国のサブプライムローンは長い間、資産上昇がなかった為に急激に起きた資産インフレを過信して過っての日本の様に破たんした不動産ローンは売却で貸付金を回収できると突き進んだ結果がリーマンショックを引き起こした。同様に、スルガ銀行の「かぼちゃの馬車」融資事件は資産デフレが続き、融資も保証協会の経験しか有していない世代が最近のインカムゲインよりキャピタルゲインを重視する風潮に踊った姿が浮かび上がる。特に、サブリースの支払いに関しては20年以上前の経済バブル崩壊後にサブリース裁判によって支払金額の変更が認められたこともあり、完全に保証された制度でもない。勿論、サブリースは経済バブル崩壊後にもアパート・マンションなどでは新築5年を目途にサブリース会社の有利なシステムで復活し、バブル経済時代の不良債権処理後にはオフォスビルなどにもサブリースが目立つようになった。サブリースが成立するのには高い入居率と賃借料の差額が必要であり、オフィスビルなどには適さないビジネスモデルと考えられていたが、資産デフレが続いて世代交代も起き、且つ金融業界も低収益に陥った中での日銀の金融緩和政策により、不動産投資に誰もが目を向けた結果、偽物と本物の区別が付かなくなった。否、デジタル経済で時間軸が早くなったにも拘わらず、長期的な考えが必要な不動産投資に関して無責任になったと言うべき現象が起きたと考えられる。
(続く)
スルガ銀行のシェアハウス「かぼちゃの馬車」問題!!
日経新聞に金融庁幹部が標題の問題に関して、「まっとうなビジネスに戻して『群れ』に紛れてしまうなら本物でなかったということだ」と評したと書かれていた。金融庁の役人、今は外国の金融機関など民間企業からのスタッフもいるらしいが、デジタル革命が引き起こした低金利にあって収益を見出させない金融機関の対して机上の理論で評して本質的な問題を避けているのは見過ごせない。この為、今後も同様な事件は起きると推定されるので、何が起きたのかを検証してみることにする。不動産業界に革命を起こすには、「税法を読み解くか」、「建築基準法などの法律に対する発想の逆転をするか」、「常識を覆すか」、「需要を読んで先行する」などが必要になる。今回の融資対象の女性専用のシャエハウス「かぼちゃの馬車」の発想は業界に新風を巻き起こすほどの商品でないことは一目瞭然だ。女性専用は古くはサウナ風呂に、その後ビジネスホテルに、最近では通勤電車に採用されている。この他にも女性専用と謳う広告は見かけるが、ビジネス的に拡大しているとは思われない。なお、学生向けの女子寮や会社の女子寮も古くからあるが、女性専用とは言わないので、女性専用とは男女混合施設を専ら女性用として利用する施設と定義できる。通勤電車の一部車両を女性専用にするのは痴漢防止などの目的があるので意義があるが、シェアハウスを投資物件として位置付けて女性専用とした場合に男女混合より入居率が高まり、月額使用料が高くなる理由が理解できない。業界に革命的な衝撃を与えると言う観点からは、「かぼちゃの馬車」に関しては「常識を覆す」か「需要を読んで先行する」かに該当するかだが、女性専用の言葉自体は目新しくもなく、女性専用のアパートやマンションの需要が高いと聞いていないので、シェアハウスの女性専用化のビジネスモデルが成立する意義が見いだせない。運営業者のスマートデイズの社長が出版した書籍の影響で女性専用シェアハウスに対する投資家の評価が高まったと言われているが、仮に書籍の影響だとすれば、情報化時代に書籍位で理由なき熱狂を産み投資家が急増した背景を分析することは必要と考えられる。
<次回に続く>
スーパーの自動精算機で思う日本の劣化
私の住まいの近くのスーパーとしてサミットがある。サミット本社に一番近い店だ。今年春になってレジに自動精算機が急に配置され、買い物の支払は全て同精算機で行う事になった。通常のレジでの支払いは後続を気にして小銭を出さずに専ら紙幣でお釣りを貰っていたので自宅に小銭が結構たまっていた。この為、当初は気兼ねしないで小銭で精算が出来ると思われ、自動精算機の配置を歓迎した。安倍政権が煽った労働対価の上昇や少子高齢化による労働力不足もあって早々と自動精算機の導入配置は時代の流れと受け止めた。しかし、自動精算機が二台置かれ、一台はレジのすぐ隣なので以前と変わらずに後続を気にする支払いとなる為に、もう一台の通路側の精算機で支払える時でしか小銭でゆっくり支払いが出来ない不便さがあった。それでも当初は小銭が減少するのに役立つと考えていたが、その考えの甘さに気が付かされた。その日はプラスチックの小銭入れに100円玉を50個入れて使う考えでサミットに買い物に行った。その日の買い物金額は4850円で、丁度小銭で支払える金額内で納まった。レジで課金されている間、通路側で精算している人がいたので、後続を気にするレジ側の清算機になるかと気にしたが、タイミングよく通路側の人が支払いを終えたので、小銭で支払いが出来ると嬉しかった。しかし、その嬉しさは直ぐに吹き飛んでしまった。理由は30個ほど硬貨を入れていたら投入口が閉まってしまった。仕方なく、トラブルが起きた時に呼ぶ相談係員のボタンを押した。直ぐに係りの女性従業員は来たのだが、硬貨だけで支払っていた私に面食らったみたいで、そんなに多くの硬貨は使えないと言ってきた。その言い方に気に障ったので、硬貨は幾らまでしか使えないと表示していないが、幾らまでなら可能かと問いただしたら20個だと言ったので、そんなことは何処にも書いていないだろうとややきつい口調で言ったら、その場から立ち去ってしまった。仕方なく、紙幣と硬貨の両方で支払うことにしたのだが、入り口が閉まったままなので戸惑ってい時に別な女性係員が来て支払いに助成しようとしたら、先ほどの女性係員が後ろのカウンター内からその係員にそこは使えないからこちらに来てと引き離した。それで私が先の係員にクレーマーと思われたことが分かり腹が立ってきたが、支払いが先なので再度現金の清算を押して手続きを進め、今度は千円紙幣を1枚使って支払いが完了した。支払い後に気が付いたのだが、先の係員は硬貨は20枚しか使えないと言ったが、実際は30個以上使えたので、現場が自動精算機の関する情報を知らされていないのかと情けなくなった。このトラブルもあってワイフと話したのだが、自動精算機は紙幣や硬貨を入れるのがやや遅いと「お金を入れいれてください」と煩い位に急かすことも気になった点だ。高齢化社会なのにシニアに一つも考慮していない精算機の上に、良く考えると設計コンセプトはカード使用を前提にしていると推定された。若い人生経験が少ない連中に仕様を決めさせた故と思われるが、人生経験があるならば、「お金を入れてください」ではなく、慌てないで精算できる言葉の「お金が不足しています」を選択したのではないかと思った。同様に、サミットでの買い物を以前と比較してみたら、商品を配置する従業員も対応が変わっていたことに気が付いた。以前は、商品を陳列していたり、商品を運んでいる時には、お客に気配りをして陳列台から離れたし、運んでいるときにはお客優先でお客に通路を譲っていたが、最近はその様な気配りはなくなったことに気が付いた。自動精算機だけの配置も同じ次元の発想だろう。通常ならば、一ヶ所くらいはシニア向けに従来の支払いシステムを残しても良いと思われる。お客に何か指摘されるとクレーマー扱いであり、日本人の優れた部分の配慮が減少したことを考えると、日本の将来が悲観的に見える。官庁の中の官庁と言われた財務省のトップの事務次官の劣化を考えると、小規模スーパーの組織的な劣化など取るに足らないかもしれないが、この現象は日本のトップである総理府大臣の劣化から来ているのかもしれないと思った次第だ。