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日銀のマイナス金利政策に関しては良く分からないと言うのが国民の大多数の意見と思われる。

欧州各国では既にマイナス金利を導入している事を聞くと、マイナス金利は景気回復に本当に有効なのかと疑念も湧いてくる。日本も欧州のマイナス金利に倣うとすれば、マイナス金利の幅は今後拡大すると見た方が良いことになる。EU加盟国は一元的なユーロー通貨なので、通貨の切り下げによる輸出の拡大などの手段は取れないし、財政出動も財政規律の制約もあり、景気回復の手段は限られている。この為欧州各国にとっては景気対策で取りえる有効な政策と考えられる。翻って、日本は単独で通貨の切り下げも財政出動も中央銀行による国債買い入れも可能であるので、何故マイナス金利を導入したのかと素人ながら疑問が湧く。

勿論、日銀が行ってきた国債や社債などの購入に限界が来たのでマイナス金利しか方法がなかったとの報道も目にするが、報道されたことで逆に真実ではないと疑い深い私は考える。マイナス金利に関しては頭がもやもやしていたが、ひとつの記事が私の考えていたことを裏付けた。私は黒田日銀総裁は安倍首相が経済再生に専心しないで政治の軸足を外交と国防と憲法改正に置いていることに対する不満で古巣の財務省を利する政策がマイナス金利導入ではないかと考えていたからだ。

黒田日銀総裁も熊本の地震は想定していなかったであろうが、経済再生と地震の被災地復興の為に資金を必要とする政府に力を貸すほか、財務省は入札で国債利回りがマイナスになり、借金をするのに利息を受け取れる状況だ。また、日本の国債の利回りが0.4%なので財政的には節約できることになり、国債の一部を景気刺激策に使える勘定だ。

問題はマイナス金利の副作用だが、これに関してはマイナス金利導入の先駆者の欧州・デンマークの事例が教訓となりそうだ。マイナス金利が長期に続くと貯蓄を増やして投資を減らす結果になっているとのことだ。デンマークの年金・投資貯蓄は約6000億ドル(約64兆円)であり、この資金運用担当者によれば、低金利が投資を促進すると言うロジックは金利がゼロを下回ると通用しないと指摘いている。その理由としては、ゼロ金利の極端な政策は予測できる結果がない危機の兆候と企業と消費者は考えるからだと推測されている。将来のリターンやリスクの透明性が乏しい為、将来の購買力を守ろうと貯蓄を増やし、リスクの低い資産を選ぶことになるそうだ。従って、ゼロ金利は国民を守る為の政策ではなく、国家を守る政策であることを理解した次第。

 

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黒川書籍.JPG黒川清氏は東日本大震災時の福島第一原子力発電所の事故を究明する目的で国会に設置された調査委員会の委員長でした。

事故後5年経過するのに何も解決していないことと、事故調の提案も国会でその後の議論が殆ど起きていないことに憂いて本書を上梓したと書いている。

同書で、日本の憲政史上初めての国会調査委員会として設置されたと書かれており、改めてその意義を日本人は考えるべきと思われる。

国会事故調が福一事故は地震や津波による自然災害ではなく、人災が引き起こしたと結論付けている。私も原子力行政に拘わった知人がいるので、一般の人よりは原子力発電と福一事故に関しては知識を有しているので、国会事故調の報告書は大いに評価できる。

今、黒川氏が憂いているのは、国会事故調で報告した安全性に対する問題点を国会で全く議論がなされていない上、福一事故処理も解決の目途が立っていないのに、再稼働だけが先行していることだ。九州電力の川内原発の再稼働に対して事故が起きた時の責任に対して政府は電力会社と発言した。黒川氏は国会事故調のヒアリングで上に行くほど無責任になる日本の組織に対してグループシンキングの悪弊と断定した。確かに、明治以降、否江戸時代から同様であったのかもしれないが、誰も同じ考えを持つ教育が日本に存在する。

東日本大震災以降、日本列島は地殻変動期に入ったと思うのは常識的な考えだ。その検証もなしに原発再稼働と原発輸出の掛け声だけが聞こえている現状は異常だが、日本人の多くは思っていない様だ。黒川氏が指摘する様に大手メディアの責任もある。福一原発の事故を含め大量に保管されている使用済み核燃料の再処理や高レベル廃棄物最終処分場も決まっていないのに、再稼働だけが先行する事態は常識的には考えらない。台風一過性民族の先送り体質かと考えるしか理解できない。

黒川氏が米国の学者の書物から「日本の文化は中国から伝来されて独自の文化を造ったが、その文化は世界の何処にも存在しない固有種」を引用して世界の孤児になる危険性も指摘している。一国の首相に福一はアンダーコントロールにあると言わせる役人の無責任さが国家を滅ぼす。

 

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東京オリンピック開催と挨俟った観光立国による経済再生で宿泊施設が大幅に不足するなどどマスコミなどは囃しており、民泊で不足を補う他にないと世間は喧しい。昔からマスコミが騒ぎ出したら要注意だが、今回の民泊は分かり過ぎて嫌になる。少子高齢化社会で住宅は過剰になるのだが、先進国の経済を良くするには不動産を動かして消費財の生産を上げるしかないのだが、日本の場合は誰が見ても先行きは暗い。この為、役人などは机上の理論を駆使して国民を騙す作戦を進めることになる。このお先棒を担ぐのが大手のマスコミと御用学者と御用評論家だ。東京オリンピック開催は正に詐欺師のお膳立てが揃ったことになる。

冷静に考えれば分かることだが、金持ちでない民泊する旅行客が増えても無駄な消費はしないので経済効果が期待できないのは自明だ。欧州は観光客が多いが、それでも経済が破たんしているのを見ても分かる通り、観光業などで世界第三位の経済大国の日本のGDPなど増加しない。民泊を煽るのは住宅投資を増やすことで経済を良くしたいと考えているからだ。金融資本主義は昔の京都の経済と似ており、需給で物が動くのではなく、最後にババを引かせるゲームと言える。民泊問題では住宅投資に参入し、売り抜けたものが勝者だ。

絶対需要が期待できない少子高齢化社会で過剰気味な住宅を解消するには民泊の活用が最適だ。本当に世の中には頭が良い者がいると思われる。投資はギャンブルと似ており、収支計算の結果は将来に先送りになっている。この為、誰もが損をしているとは考えないばかりか、自分だけは売り逃げられると過剰な期待感で頭の中は埋まっている。尤も、少数だが損をしない者もいることは確かだが、それは話題になった時に売っている人達だ。大半の人達は東京オリンピック開催までは大丈夫と読んで動いているのは確かなので、ババを引かない為には一度利益を確定することも重要と言える。

 

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国交省は介護施設など不動産投資に30兆円、ホテル不足に容積率の緩和など大々的にマスメディアを通してアドバルーン発言を打ち上げている。この様な記事を目にすると30年前の当時、国交省が建設省や運輸省、国土庁と名乗った時代にマスメディアに同様打ち上げたアドバルーン発言を否応なしに想起した。金融都市の東京にはビルが少ない、リゾート時代到来にヨットハーバーなどレジャー施設が足りないなど民間企業に投資を煽るものであった。還暦を超えた世代は行政に煽られて行ったプロジェクトがどの様な顛末を辿ったかは周知の事実だ。

勿論、当時と現在とは直接金融時代と間接金融時代と金融の背景が大きく異なるので比較しても意味がないと反論されるかもしれないが、アドバルーン発言による仮想需要と実際の需要とのかい離が引き起こす結果は同じであり、不動産証券化手法によるリスクの拡散で被害者は想定以上に拡大することを考えるべきだ。

日本の経済再生には私も賛成だが、日本を破たんに導くような蜃気楼政策には断固反対だ。安倍内閣の政策顧問をしているイェール大学名誉教授の浜田宏一が2013年12月に書いた「アメリカは日本経済の復活を知っている」を再度読み直した。日銀のデフレ金融政策を批判し、世界経済の新しい潮流から日本は孤立していると断言し、今日の経済再生には財政政策ではなく、金融政策が有効と主張したものだ。正に、安倍政権は浜田宏一の提言を受け入れて金融政策により円安と輸出拡大で株価を上昇させて景気回復を目論むシナリオ通りなのが分かる。

浜田宏一は、日銀OBの書いた「人口減少がデフレ原因」に対して強烈に批判している。人口減少は逆にインフレを発生させると断言している。浜田宏一は経済学的視点からではなく社会学的視点から本を書いたと述べた通り、日本の学者やマスコミの問題点を挙げており、幾つかの点で私も真実と評価している。しかし、今日の日本経済の停滞を日銀と財務省にだけ責任を負わせる主張には無理があると言わざるを得ない。1985年9月のプラザ合意に基づく円高対策で行った金融緩和と内需の為の財政出動によって引き起こされた未曾有のバブル経済と崩壊、その後に起きた不可思議な通貨危機を考えると、浜田宏一は世界金融政策に同調するリスクの大きさを考慮していないと言わざるを得ない。

円安が日本を救う考え方は、日本から多くの工場が移転する前の事であり、日本製品の多くの部品が海外の工場から輸入する現在では、円安だけでは解決できない問題が横たわっている。円安で地方経済が再生しないのは地方に工場がなくなってるからに他ならない。尤も、円安で再度国内に工場が戻ってくると期待する意見もあるが、グローバル経済では円安だけで戻ることはない。少子高齢化の日本で低賃金の労働者を確保するのは困難だからだ。

日本経済再生のマイナス要因は非正規労働者の出現だ。小泉政権時代に派遣法を改正して工場労働者に対する非正規雇用者を作り出した。円高に対する為替調整に対応するものと成立時には説明がなされた。非正規雇用が拡大し、現在では雇用全体の40%を占めるまでに至り、低所得者層の大幅拡大は消費の低下を引き起こし、同時に飲食店等は低価格料金の店舗展開を図ったのである。バブル経済後に資産デフレが起きたが、商品のデフレは単に円高だけから起きたものではなく、政府の構造改革などの価格破壊にも起因しているのである。この為、浜田宏一が主張するように金融政策で円安株高になれば、日本経済が再生すると言う単純な構造ではないのである。

経済再生には金融政策だけでは駄目と分かり、国交省が日本国民を再度欺くアドバルーン発言を繰り返し、何時か来た道の悪夢を再生する蜃気楼政策には断固反対だ。ホテルが足りないと言うが、2月には予約が少なかったとホテル経営の知人は嘆いている。国交省に容積の餌に釣られてホテルを造って破たんしたのでは意味がないが、不動産証券化でリスクを分散する社会だから一般投資家は甘い話には乗らない方が良い。人口減少はデフレと関係ないと断言するのは単に労働者のひっ迫だけの視点しか見ていなく、その点から言えばインフレ要因だが、全体の労働者の20%の大企業しか見ていないのでは、日本経済の再生など覚束ない。

 

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日経の記事にJR東海が進めているリニア工事のトンネル工事で地下水脈を断ち切り、水の流れが変わった恐れがあり、今後は生活・産業に影響が懸念されるとの記事を見て都心における地下水の流れの事が気になった。大型開発では環境アセスメントを実施して影響を調べるのだが、都心の場合にはヒートアイランド現象などが指摘されるものの、地下水に関しては工場立地の様に地下水を汲み上げる訳ではないので重要視されていないように思われる。

私が都心の地下水の事が気になったのには理由がある。今から30年近く前に都心で大型ビルを建築した時に敷地の周囲に設置した連続壁が地下水の流れを遮断して隣地のビルの地下の階で漏水が起きたことを記憶していたからだ。また、近年では、弊社が管理する都内のビルで生じている地下に併設している消防用の水槽の満水警報のことだ。都心の地下水に関しては、都内から工場が移転し、住居でも井戸水を使う事がなくなったこともあり、上昇していると言うデータもある。更に、暖冬の影響で集中豪雨などが起きており、当然に都心の地下水にも影響を与えていると思われる。

尤も、都心は道路等を含め地表がコンクリートで覆われているので、雨水の多くは下水道を通して東京湾に流れるのだが、一部は地下に流れ込むことは間違いはない。大型開発で地下水の流れが変わり、更に集中豪雨で流れ込む雨水の影響に関して東京都や国土交通省はデータを持ってるのであろうか。特に懸念されるのは大地震が東京を襲った時に使用されていない豊富な地下水の問題だ。素人ゆえの懸念かもしれないが、多くの人は地上に目を向けて地下に関しては意見が少ない様に思われる。豊富な地下水と書いたが、場所によっては水脈が絶たれ、土自体が劣化して軟弱になっている可能性もある。都心の崩落事故は何れの原因で起きたかは知らないが、地下のバランスを欠いた為に起きた現象であることは間違いない。

古より足もとを見る大切さを指摘する教訓は多いので、高層ビルや高層マンションの建築だけに目を向けるのではなく、地下で何が起きているかも認識する必要があるのではないか。リニア工事における地下水遮断問題は山中の出来事として見るのではなく、他山の石とする事が必要と思料する。

 

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4年後の東京オリンピックと観光立国で宿泊施設の不足(?)を理由に一般住居を宿泊施設に利用できる為の指針が纏められており、制限条項として6泊7日以内が出てきた。以前に分譲マンションの場合には、管理規約で規定する必要があることを指摘しているが、今回は戸建ても分譲マンションも住居用賃貸マンションもゴミの問題について言及したい。

民泊の管理は貸主自身が行う事になるが、民泊と言う営業行為で出たゴミまで従来の様に行政の収集範囲に含まれるのかが争点と考える。住居から出たゴミは固定資産税と住民税の支払いで一般ゴミの収集は無料になっているが、民泊の問題で今後は有料の懸念が起きてくる。

此れまでも財政難からゴミの有料化が指摘されてきたが、放漫財政や議員の定数や報酬の問題があるので、住民の反発を恐れて無料制度を維持してきた。しかし、民泊問題と絡んで今後有料化の議論が出てくる可能性がある。行政は民泊に便乗して有料化を進める可能性も否定できない。

翻って、民泊による規制緩和に便乗したビジネスが増えているが、個人はもとより事業として企画している企業はゴミ問題を考えているかが聞こえていない。マスコミも円安の一時的な現象と同様に気まぐれな中国人観光客の為に生じている宿泊施設不足に対して検証もせずに後押ししている。

先進国なら分別してゴミを出すのは習慣化しているが、世界中を見ると未だ分別など浸透していない。況してや、産業廃棄物など捨てられたら誰が処理代を負担するのか。然も、現状では誰がどのゴミを出したかは分からない。

事故が起きた時の保険の問題とゴミの問題を明確化しないで民泊をなし崩しに認めるのは、社会と言う共同体を無視した暴挙だ。

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新聞の書籍紹介で興味を持ち、三浦英之の"五色の虹"を読んだ。本の内容は満州建国大学の卒業生について書かれたものであった。満州国については先に"満州国演技"と言う本を読んで多くを考えさせられたが、今回読んだ"五色の虹"も学校教育の歴史では教えないことが書かれていて興味深かった。特に、満州建国大学では「言論の自由」があったと当時としては驚く内容であった。

日本が強引に
五色の虹.jpg造った満州国ではあったが、国家の経営に五族協和掲げてその幹部養成校ともいえる満州建国大学を創設したのには満州国の建国に関わった人達の理想があったと思われた。日本が海外に作った学校としては、「東亜同文書院」がある。同校は主として日本人の中国エキスパートを要請する学校として創設され、私の故郷の茨城の田舎からも入校し、戦後は国会議員にまでなった人物がいるので、亡父から聞いていたので知っていた。


しかし、満州建国大学に関しては、存在したことは知っていたが、どの様な教育が行われていたかには関心がなかったので分かろうともしなかった。


五色の虹を読み進むにつれて相当な英才が集まり、半数は日本人であったが、他に朝鮮人、中国人、モンゴル人、ロシア人、台湾人が平等な待遇で教育されていたのには驚くばかりであった。正に、戦前のグローバル教育であった。然も、言論の自由があり、当時の日本の政治に対して批判することや、日本国内では禁止されていたマルクスなど発禁処分の本も読むことが出来た事実には唖然とした。創設に拘わった当時の日本人達が如何に広い視野で物事を決めていたのかと思ったが、現代と比較すると昨今の日本の政治家や教育者や経済人が非常に卑小なものになったのかと考えさせられた。


私はローマの広場と言うイノベーションをテーマにした一般社団法人オープンイノベーションの会員になっている。そこで開かれたプレゼンの会で大手企業に勤務する方と知り合いになり、会の運営に携わる方を通してお酒も飲む間柄になった。先月末にその方と新年会を行った時に、その方の祖父が陸軍中将で、父親が陸軍中尉であり、然も戦後は戦犯としてフィリピンのモンテンパルの収容所に居たことを話された。奇跡が起きてその方の父親は帰国出来たのだが、戦後は自衛隊に勤務したとの事であった。この方の個人的なことを書いたのは、酒を飲んでいる席で定年後には何か日本が良くなることに力を注ぎたいと話していたからである。戦中戦後を通して軍人一家であった父親に育てられた彼は、国家と言う存在に対して今の日本人にはない国家に尽くす家庭教育がなされたのかと推測された。市井の人が国を良くする考えを持つのに今の政治家の程度の低さには呆れるばかりだ。特に、言論の自由を抑え様とする国会議員の動きには、歴史を学ばない愚かさが見えて愕然とする。


金融資本主義になり、少数の大金持ちが支配する社会では言論の自由は邪魔なのには相違ないので、市井の一人として言論自由を守ることが如何に大事かを戦後の満州建国大学に学んだ学生の人生を書いた"五色の虹"で痛感した。



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JR東日本の山手線恵比寿駅ビルに連結した「アトレ恵比寿西館」が今春グランドーオープンするが、同プロジェクトは株式会社クレディセゾンと連結子会社の株式会社アトリウムの共同開発によって行われた。アトレ恵比寿の別館として誕生する「アトレ恵比寿西館(地下1階地上8階)」はJR恵比寿駅に接続する"西口連絡通路"を新設することで東口を繋ぐ新しい歩行者動線をを整備し、街の流動化と活性化を図るものとなる。

副題として「La Patio(中庭)~"わたし"と"街"をつなぐ場所~」をコンセプトに、恵比寿での生活をより豊かに、より楽しみたい恵比須居住の人々が日常的に立ち入れる場所を創出して、街に寄り添い、街と共に成長するシンボルとして開放的な外観、緑と風を感じられる屋上「ガーデンテラス」により、新しい恵比寿の顔を作り出して行く豊富が語られている。

長々と企業の宣伝文句を書き連ねたかと言うと、偶然にもセゾングループ創業者の堤清二氏のオールラルヒストリー(堤清二・辻井喬オーラルヒストリー「御厨房貴・橋本寿朗・鷲田清一=編」)を購入して読了したばかりで、セゾングループが解体された後に一世を風靡したセゾン文化・パルコ文化と称したものが時代と共に消え去ったと思っていたが、奇しくも上の宣伝文句にセゾン文化の名残を見出したからである。

弊社は株式会社アトリウムと2000年頃から仕事上のお付き合いが始まったのだが、堤清二氏のオールラルヒストリーも同時期に対談形式で記録されていたものと分かって感慨深いものがある。セゾングループが解体消滅したが、グループ会社の1社であった株式会社クレディセゾンにセゾン文化が色濃く残されているのは、学生時代に西武池袋線江古田駅の最寄に居住し、池袋駅を利用して大学に通い、セゾン文化・パルコ文化と歩んできた世代としては嬉しい限りだ。オールラルヒストリーでは、堤清二氏は時代がセゾン文化とパルコ文化の消費・生活スタイルでなくなったと述べられていたが、1970年初頭にクレジットカード時代を予見し、月賦販売会社の緑屋を買収し、パブリックカードを発行するクレディセゾンに成長し、同社にセゾン文化を継承しているセゾン遺伝子を見ると興味深い。勿論、単純にセゾン遺伝子を継承しているのではなく、変化を遂げながらであることは論を待たない。

オールラルヒストリーは単に経営者と作家であった堤清二氏を見るのではなく、戦後の復興から今日までの日本の政治と経済の歩みを見る上でも大いに参考になる著作だ。生前は出版を頑なに拒んだ堤氏だった様だが、遺族の方が出版を了承したことは意義あることと思われる。私自身は過去に堤氏の著作を何冊か読み、数年前にはセゾン文化なるものを分析した本も読んだ。オーラルヒストリーに対談では、対談相手がセゾングループの崩壊の原因となった西洋環境開発に対して過去に経験した不動産会社の西武都市開発の失敗の教訓を生かせなかったのかと問うたが、西武都市開発の時は西武鉄道が起こした問題を引き受けたのであり、結果論から入ったので別な切り口からやればと考えたと述べるとともに、投資に関しては社長にしたものに任せたのでと歯切れが悪かった。戦後のインフレ経済で成長した経営者にバブル経済破たん後に聞く話ではなく、西武都市開発の処理もその後のインフレ経済で乗り切った訳だから失敗を教訓に出来なかったのかと責めるのは酷と言える。

何れにしても、クレディセゾンと連結子会社のアトリウムに堤氏が描いたセゾン遺伝子が残されており、変化を遂げながら成長している姿を見るのはセゾン文化時代に育った者としては嬉しいことでもある。

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先日、知人が開いた懇話会で同志社大学大学院の内藤正典教授の講演を聞く機会を得た。ドメステックな不動産屋の親爺がイスラムに興味を持っても意味がないと言われるかもしれないが、経済はグローバル化し、日本経済に影響がある世界の出来事については国内に限定したビジネスを行っていても無視できないので、機会があれば情報をとることにしている。。

私自身はアラブ人とペルシャ人の区別も出来ないほど無知だが、一般の日本人もイスラムについては、新聞報道で知る程度と思われ、今から30年位前に多くのイラン人が日本に出稼ぎに来ていたことと、確か筑波大学教授がイスラム教を侮辱した本を翻訳出版して暗殺された衝撃的なニュースで知っている位と推定される。しかし、イスラム教はアジアの諸国のインドネシアやマレーシアで信奉されており、世界中で多くの信者を有し、影響力のある宗教な割には日本では余り知られていない。原因は日本のマスコミが欧米の文化一辺倒で、イスラム世界に関して余り報道していないためと思われる。

内藤教授はシリアのダマスカス大学、トルコのアンカラ大学に学び、フランスの社会科学研究院の客員教授、英国のアバディーン大学の客員教授の経歴を持つ、日本では異色のイスラム研究者であった。歯切れの良い講演は目から鱗の話ばかりで、イスラムについては日本人は真実を知っていなく、イスラムについての報道はかなり偏向していると考えざるを得なかった。日本のイスラム報道が何故偏向するのかは、欧米のキリスト教文明の情報源を主として使用した報道を行っているからなのは自明だ。

フランスで起きたテロ事件は日本では欧米のニュースに従ってISの仕業と断定して報道しているが、内藤教授の見方は、フランスに移民した500万人のイスラム教徒の経済的な苦境と差別が背景にあり、移民2世の不満が起こした事件として捉えていた。この為、今後ともISと言う国境を超えた集団に移民2世が呼応してテロ事件を誘発する危険性を指摘した。シリアと言う独裁国家は国民の生命財産を無視しているので多くの難民が発生するリスクがあり、日本も北朝鮮と言う独裁国家が近隣にあるので、シリア問題を研究する必要があると内藤教授は指摘した。内藤教授の話だと、シリアは北朝鮮と親しく、内藤氏がシリアに留学していた時に北朝鮮から多くの留学生が来ていたらしい。

フランスなどがテロ事件に対抗してISに対する空爆を強化したが、IS自体は国家ではないので、世界中で戦士を活動させることが出来る事が問題であり、中東のISを消滅すれば、逆にISの戦闘員は世界に散らばり、欧州や米国の移民2世を巻き込んだテロが続発する危険性が高いと内藤教授は指摘した。更に、インドネシアなどイスラム教の国にも争いが波及する可能性も否定できず、世界は混乱に陥るリスクも指摘した。欧州のイスラム移民に対する差別等を無くさない限り、欧州のテロはなくならないという事だ。そして、欧州のテロはインドネシアなどのイスラム教徒も刺激すると指摘している。怖い話だ。

なお、内藤教授の話は怖い話ばかりでなく、イスラム教徒は昔は飲酒を禁じていなかったが、酒を飲んだ不祥事が多かったので禁酒になったことや、女性が頭から被る布はイスラム法で決められたことでないことなど多岐にわたった。内藤教授の話を聞いて改めて異文化の尊重、移民に対する経済的困窮や差別の撤廃が平和の前提になると考えた。しかし、資本主義経済は同じ民族にも所得格差を産み、低所得層と移民との確執が生じやすいので、グローバル経済の仕組みについて考えなおす必要があると思われる。難しい時代に入り、政治家の器量が問われる時代なのに世界中で政治家の質が落ちているのは杞憂すべきことだ。

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ネット作家の村上サガンがリアル本として出版した4冊目になる実話本を寄贈されて読んだ。著者が今回の本を書いた理由は、秋葉原通り魔事件の被害者「宮本直樹」氏との出会いにある。結論から言えば、村上サガンがIT業界で成功した切っ掛けが宮本直樹氏だったからだ

私は村上サガンと出会ったのは今から16年前に遡る。村上氏がサラリーマン時代に起きたトラブルに対する解決のために弁護士を紹介したことが縁だった。その縁も私の大学時代の友人の高校時代の同級生であったコピーライターの知人の紹介だった。コピーライターは京都の大学を出て東京に就職する時に大学時代の友人から東京の住居を探す手伝いをした縁であった。正に友達の輪を地で言った関係だ。件のコピーライターと村上氏は音楽バンドを通じて知り合ったとの事を聞いていたが、私の知り合いの中では二人とも頭が良いが変わった人物でもある。

今回の本で改めて分かったのは、私が紹介した弁護士が凄腕で村上氏のトラブルを解決したことが、村上氏が我が社のIT関係に協力してくれる事になった縁だ。もっとも、本の中では私がコンピューターに無知な人物として描かれているが、私は大学時代に専攻した学科が電子工学なので多少はIT関係の知識は持ち合わせていたのを村上氏は知らなかったのか、本の流れで無知にした方が良いと思ったのかは分からない。

本自体はIT業界の裏側を書かれているので面白く読んだ。特に、初期のIT業界に暴力団が絡んでいることは聞いていたが、その事が事実であったことに触れている。また、プログラマーは社交的に苦手な人が多い事や統合失調症を病んでいる人など管理するのが大変な集団であることも分かった。派遣で成り立っているシステム構築では常に問題が内在することも指摘されており、社会保険庁のデータ消失問題にも触れており、行政のIT無知は今でも変わっていない事に不安を覚える。

同書は初版本は少ないこともあるが、既に初版本は売り切れて二版目に入ったそうだ。編集は編集プロットを使用して村上氏が自分で行った面もあり、専門の編集者があまり関与していない事もあるので多少雑だが、安い本(定価499円)に仕上げるので仕方がないと考える。IT業界に興味があれば一読したい本であることは確かだ。